2018年を迎えて

  • その他

 

 京都大学防災研究所の所長を拝命して初めての新年を迎えることとなりました。改めまして本年もよろしくお願いいたします。
 昨年2017年4月に、所長就任にあたり抱負をいくつか掲げました(http://www.dpri.kyoto-u.ac.jp/news/9012/)。それらの取り組み状況をご紹介したいと思います。
 抱負の1つが防災研究所独自の若手研究者への支援です。今回の支援は京都大学の第3期中期目標・中期計画達成に貢献すべく、防災研究所が選択した評価指標に関連した内容、すなわち若手研究者の海外派遣経費と学術論文出版等経費への支援です。助成のタイミングや何らかの制約で申請が難しくて応募しにくい助成事業の隙間を埋める融通のきく助成となるように心掛けました。多数の応募がありましたが、精査の結果、5件の海外派遣支援(3名の研究員と2名の博士後期課程の学生)と12件の論文出版支援(内4件は論文採択が決まれば支援)を採択しました。次のステップに繋がる多くの成果が出ることを期待しています。できれば来年度も中期目標・中期計画の進捗に繋がる支援をしていきたいと思っています。
 つぎに、広報・社会連携活動の強化です。その一例として前執行部の取り組みを引き継ぎ、総長裁量経費の支援を得て防災研究所連携研究棟に設置した防災ミュージアムの充実・強化と、阿武山観測所および宇治川オープンラボラトリーにミュージアム機能の役割を持ってもらい、これらをネットワーク化して広報・社会連携活動を強化しようとするものです。牧紀男広報国際担当副所長のもと、随分強化できたところもありますが、これからといったところもあります。今後は防災研究所が独自の取り組みとして自律的に実施していかなくてはなりません。
 防災研究所には15の観測所・実験所等があり、ここで得られた各種データを用いて、ほぼあらゆる自然災害に係る研究や教育を行い、防災研究所にしかないデータや成果が世界に発信されています。これらの観測データや研究データを一元的に管理運営して利活用し、国内外の研究機関と共同研究を実施することが防災研究所の責務でもあります。その意味で、人的資源や研究資源に係るデータベースの構築が必須でありますが、いまだ世に誇れるようなシステムとして機能しているとは言えません。これを実現するために澁谷拓郎研究・教育担当副所長のもと、平成30年度に概算要求しましたが、残念ながら採択されませんでした。平成31年度には要求書をブラッシュアップして捲土重来を期す予定です。これと並行して、研究・教育委員会や自然災害研究協議会などでもデータベース構築の実現に向けて検討しているところです。あと1年の所長としての任期中にできるだけ前進したいと思っています。
 そして、将来計画については、堀智晴将来計画検討担当副所長のリーダーシップのもと、将来計画検討委員会で改組、定員管理、教員構成、とくに若手教員増への対応など、多くの課題に取り組んでおり、あと1年で目に見える形ができればと思っています。
 また、文化交流スペースの設置、防災研究所職員組合会議室の設置など、所員の皆様のご協力のお陰で懸案事項が一つ一つ解決されつつあります。一方、昨年は、不正経理による助教の懲戒免職や研究不正の疑い等、研究倫理に係る事案が発生しました。二度とこのようなことが有ってはなりません。研究室等では情報を共有し、不正を未然に防ぐことを心がけてください。
 本年も引き続き、皆様におかれましてはご協力とご指導のほどよろしくお願いいたします。