防災一般に関するご質問
Q&A

質問
「被害想定」とはなんですか

回答
「被害想定」とは、ある地域について将来どのような災害が発生する可能性があるのか、その災害によってどのような被害がもたらされるのかを、事前に予測することです。被害想定によって、どの地域でどのくらいの建物が倒壊・浸水するのか、どの地域で停電が発生するのかといったことのおおよその見通しを立てることができます。被害想定の結果をふまえて、どのような防災対策を行うかを決めることになります。多くの都道府県がさまざまな災害に関する被害想定を行っています。(巨大災害研究センター・災害情報システム)

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質問
被害想定ではどのような被害が予測されているのですか?

回答
予測される被害は、死傷者の数、倒壊・延焼して失われる建物の数、停電、通行止めといったライフライン、交通施設の障害等、いわば「目に見える」被害が中心となっています。阪神・淡路大震災では、「目に見える」被害だけでなく,災害発生後長期間に及ぶ社会・経済的影響や、被災者の精神的苦痛といった「目に見えない」被害の存在が問題となりました。現在、これらの被害をどのようにして予測するかが、重要な研究課題の一つとなっています。(巨大災害研究センター・災害情報システム)

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質問
私の住むまちの被害想定結果は、どうすればみることができますか?

回答
「被害想定」とは、ある地域について将来どのような災害が発生する可能性があるのか、その災害によってどのような被害がもたらされるのかを、事前に予測することです。被害想定によって、どの地域でどのくらいの建物が倒壊・浸水するのか、どの地域で停電が発生するのかといったことのおおよその見通しを立てることができます。被害想定の結果をふまえて、どのような防災対策を行うかを決めることになります。多くの都道府県がさまざまな災害に関する被害想定を行っています。(巨大災害研究センター・災害情報システム)
都道府県・政令指定都市における被害想定結果のインターネット上での公開状況
http://www.drs.dpri.kyoto-u.ac.jp/hayashi/link/bosai-links.html
東海地震の被害想定結果 →http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/nankai/9/index.html 南海・東南海地震の被害想定結果 →http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/nankai/7/siryou1.pdf 地震被害想定支援ツール"Quake" →http://www.bousai.go.jp/manual/tool/tool.html - download

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質問
被害想定の結果をみれば、自分の家がどのような被害を受けるかを知ることができますか?

回答
多くの都道府県が行っている被害想定の中では、一つ一つの個人所有の建物がどのような被害をうけるかは推定されていません。被害想定の対象となる地域を、町丁目の境界や同じの大きさのマス目で区分けし、各区域ごとに,自然条件を考慮して被害の発生危険度が予測されます。たとえば,「○○町□丁目では、木造の建物の30%が全壊する」といった形です。よって、被害想定結果をみると、みなさんのお宅、勤め先を含めた区域の建物のうちの何%がどの程度の被害をうけるかを知ることができます。(巨大災害研究センター・災害情報システム)

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質問
ある防災対策をしたことによってどれだけ被害が減るかを推定することはできるのでしょうか?

回答
広域にわたり建物を新しいものに立て替える,あるいは,災害の危険が高い地域から人々を退去させるといった,極めて大規模で大胆な防災対策をとった場合の効果を測ることは,現在の被害想定の枠組みでも可能です。一方で、防災訓練や地元の自主防災組織の活性化といった小規模ではあるが実現性が高い防災対策をとった場合の効果を測ることは、現在の被害想定の枠組みでは残念ながらできないのが実情です。そのような防災対策の効果を被害想定の中でどのように考慮するかが大きな課題となっています。(巨大災害研究センター・災害情報システム)

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質問
「災害を社会現象としてとらえる」とは、どういうことですか?

回答
災害を引き起こす原因となるものを外力(Hazard)と呼びます。1995年1月17日に起こった阪神・淡路大震災という災害を引き起こした直接の原因、つまり外力である地震動を、専門家の間では兵庫県南部地震と呼んでいます。この地震動が発生した場所が、大都市の真下であったため、大きな被害を出しました。つまり地震動の大きさとともに、災害の大きさを決めているもう1つの要因は、社会の有様です。この社会の要因を社会の防災力と呼んでいます。外力の大きさが、社会の防災力を超えたとき、災害が発生します。河川の例で考えてみましょう。台風がやってきて豪雨になったとしても、水の高さが、堤防を越えないうちは、いくら普段より水かさが増していたとしても、災害とは呼びません。外力である水が社会の防災力である堤防を越え、家屋に浸水し人間に対して被害を及ぼすと、それを災害と呼びます。したがって、地震や台風といった自然現象が引き起こす災害であっても、災害は、社会への被害を前提とする社会事象であり、常に社会現象としての側面を持ちます。防災を考える上では、自然現象としての外力を十分理解するとともに、社会現象としての災害の研究をすすめ、社会の防災力の向上を図ることが重要な課題となります。(巨大災害研究センター・災害情報システム)

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質問
地域防災計画とはどういったものでしょうか?

回答
地域防災計画とは、都道府県や市町村などの地方自治体がつくる防災計画です。地域防災計画には、災害時に行政が住民にどのような社会サービスを提供するのかについて書いてあります。地域防災計画は、災害対策基本法という法律によって規定されています。地方自治体は、国のつくる防災基本計画に準じるように、地域防災計画をつくることが規定されています。地域防災計画の多くは、一番頻度の高い風水害と、一番被害が大きい震災についてのみ計画が造られているのが現状です。
地域防災計画の内容に関しては、災害発生前の「災害予防」、災害発生直後の「災害応急対策」、災害発生後の「災害復旧・復興」の3つの時期について、計画をつくります。しかし、計画の多くは「災害応急対策」であり、長期的な「災害復旧・復興」計画はいまだ貧弱であり、社会サービスとしての防災計画としては、まだまだ改善の余地があります。21世紀前半に起こると予想されている南海・東南海地震から復興するためにも、「災害復旧・復興計画」の充実が急務になっています。(巨大災害研究センター・災害情報システム)
中央防災会議・ライブラリ「地域防災計画」
http://www.bousai.go.jp/jishin/tokai/contents.htm

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質問
リスクマネジメントは最近よく聞くキーワードですが、なぜ災害に対してもリスクをマネジメントすることが重要なのですか?

回答
「それは自然災害に「大被害」「低頻度」「不確実性」という特徴があるからです。これらの特徴のため、無視されがちな災害リスクを管理することが重要になります。災害はいったん起こると被害が非常に大きくなります。また周辺地域一帯が被害を受け、二次災害も発生するため被害はますます大きくなります。阪神・淡路大震災などの大災害の場合には特にそれが顕著であり、その金銭的被害や人命被害は想像を絶するものでした。災害は発生頻度が低いことも特徴のひとつです。そのため経験から災害リスクの頻度や被害を学習することは簡単ではなく、自然災害の発生頻度や被害の大きさが不確実であるという特徴もあります。このように災害は発生頻度が低く不確実なものではありますが、いったん発生すると大被害をまねきます。したがってそのリスクをそう簡単に無視するべきではありません。このようなリスクに対しては災害前・災害後両方に対する対策をバランスよく実施することが必要となります。そのため災害リスクを発見・評価し対応策をとるリスクマネジメントの手法が不可欠なのです。(災害リスクマネジメント分野)

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質問
災害に対するリスクマネジメントにはどのような方法がありますか?

回答
災害リスクマネジメントの施策は2つに大別されます。ひとつはリスクの発生を未然に防止したり軽減したりするリスクのコントロールです。たとえば洪水に備えてダムや堤防を作ったり、建築物や土木構造物の耐震設計や耐震改修を行ったりといった物的なコントロールや、保険や税あるいは情報提供などにより被災危険地域から人口や資産の分散をはかるような非物的な手段によるコントロールがあります。もうひとつの施策はリスクが発生した場合のために金銭的蓄えをするリスクのファイナンスです。地震保険や水害保険によって、自然災害のリスクを効率的に分担することができます。リスクコントロールによる効果は、事後的な復興資金の利用可能性にも依存します。災害によって人口や資産が失われると、実体としてそれらが存在しなくなったという直接的な被害に加えて、もし、それが失われずにそのまま存在していたとしたら生み出していたはずの価値をも無くしてしまいます。十分な復興のための資金が確保されれば、その分だけ急速に経済復興が可能ですが、もちろんそれはどの程度の被害が発生したかにも依存しています。
リスクコントロール、特に、耐震補強や河川堤防の構築等の減災方策は、単に、物的な被害を軽減するだけでなく、災害後の経済復興のための初期条件を規定しますし、リスクファイナンスは災害後の復興資金の利用可能性を規定することを通じて経済復興経路に影響を及ぼします。このように、リスクコントロールとリスクファイナンスの諸施策は車の両輪のようなもので、その両方がなければ有効なリスクの管理方策は構築できないのです。したがって、有効なリスクマネジメントを実施するためには、これらの施策を有機的に組み合わせていくことが重要なのです。(災害リスクマネジメント分野)

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質問
日本の自然災害保険の現状はどうなっているのですか?

回答
日本には現在大きく2種類の災害保険があります。ひとつは水害保険であり,もうひとつは地震保険です。水害保険の場合,民間保険会社の販売する総合保険の基本契約に含まれていたり,一部の火災保険に特約として取り込まれていたりします。水害保険については国の運営する再保険制度は存在せず,民間保険会社が自らリスクを負っています. 地震保険の場合は,総合保険や火災保険にはセットされておらず,これらの保険契約を結んでいる人が別途地震保険契約を結ぶ必要があります。ただ,地震保険は,政府が保険料率等を定め,一つの災害に対する保険金支払総額がある一定限度を超える場合には不足分を補うことになっています.ただし,これにも上限があり,現在のところ4.7兆円が政府の補償の上限となっています。平成13年1月から、地震保険料率が見直され、安全な建物に住めばその分だけ保険料率も安くなるという仕組みが導入されました。それ以前には、保険料率は地震の発生危険度に応じて地域ごとには異なっていましたが、建物の耐震安全性は考慮されていませんでした。このことは、同一地域であれば、危険な家に住む人も安全な家に住む人も同じ保険料を支払うことを意味しています。この場合、安全な家に住む人にとって、この保険料が割高になっていると考えられ、安全な家に住む人が保険を購入せず、危険な家に住む人のみが保険を購入することになるかもしれません。また、このような差別化は多少なりともより安全な家に住もうとする誘引を与えることになるかもしれませんし、保険料がいくらになるかという間接的な情報ではありますが、わかりやすい情報に基づいて、地震に対する安全性に関する情報が伝達されることにもなるわけです。このような意味でも今回の改正は大きな前進であると考えられます。(災害リスクマネジメント分野)

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質問
9.11同時多発テロでWTCビルが倒壊した理由は?

回答
2001年9月11日の朝、ニューヨーク市マンハッタンの南端に位置する世界貿易センターの2本の超高層ビル(WTCビル)に、テロリストに乗っ取られた旅客機2機が相次いで激突しました。その後、両タワーは炎上し、2時間足らずの間に崩壊し、多くの犠牲者を出すこととなりました。
WTCビルの建てられる以前の1945年には、濃霧の中、ニューヨーク空港に着陸しようとしていたB25爆撃機がエンパイアステートビルに衝突する事件も起きており、WTCビルは飛行機が衝突しても崩壊しないように設計されていました。その結果、衝突直後のビルの崩壊は免れることができました。しかし激突により、柱などの構造部材が広範囲に被害を受けていたことに加え、衝突によって耐火被覆が脱落した中で火災が発生したため、柱の耐力が低下していったと考えられます。このため、まず上層の重みを耐え切れなくなった階が落下し、これに抵抗できない下階が連鎖的に崩壊していったと考えられます。(巨大災害研究センター・被害抑止システム)

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質問
木造市街地は燃えやすいので、京都市内の伝統的な木構造である町家の数が減っていると聞きます。歴史的な町並みの保存と火災に対する安全性を両立させることはできないのでしょうか?

回答
戦後、建築基準法や都市計画法といった法律が整備され、市街地の無秩序な拡大に制限が加えられました。当時、中京区や下京区は、町家の建ち並ぶ木造市街地だったのですが、多様な生業が集積していたことから、都市計画法では商業地域に指定されました。商業地域に指定された市街地は、準防火地域というカテゴリーに分類され、そこに建つ建築物はある一定の火災安全性を満たすことが要求されることになります。この結果、火事に弱いとされた木造建築物(=町家)を中京区や下京区で新築することは、事実上、出来なくなりました。しかし、2000年に建築基準法が改正され、これまでは木造というだけで建築が規制されていた建物についても、ある安全基準を満たせば準防火地域でも新築する道が開けました。ただし、木造建築物にこうした防火性能を持たせる一般的な方法は、まだ開発の途上にあるのが現状で、伝統的なまちなみの保存・再生を容易にするには、解決すべき課題が残っています。(巨大災害研究センター・被害抑止システム)

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質問
平常時の火災と大規模な地震時に発生する火災の違いは?

回答
平常時の火災と地震時の火災の最も大きな違いは、地震時の場合、複数の火災が異なる場所で同時に発生する点にあります。このため、平常時には消防による消火活動で十分鎮火できる程度の火災でも、地震時のように火災が同時多発すると消防力が分散されてしまい、そのうちのいくつかが大規模な火災に発展する可能性があります。こうした場合、火災の 危険性は単体の家屋が燃える場合に比べて増しますので、被害が加速度的に拡大することも考えられます。(巨大災害研究センター・被害抑止システム)

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質問
なぜ都市域において環境創成型の防災計画が必要なのでしょうか?

回答
これまで自然環境を破壊しながら都市化が進行してきたために、現在の都市は災害に対して脆弱です。たとえば、神戸市は六甲を切り崩して住宅地を開発し、高速交通基盤を狭い幅に集中させるという経済合理性で、急激な自然・社会環境の変化をもたらしました。その結果、豪雨や地震に対して脆弱な都市になり、1995年に阪神・淡路大震災で大被害を受けました。このような変化は、大阪府の北摂地域でも見られます。
多くの都市施設が破壊した中で、公園・緑地、水辺といった空間が火災の延焼防止や遅延、避難空間として利用され、この空間の減災価値が再認識されるようになってきました。つまり、日常的に住民が遊ぶためのアメニティ空間が震災時の減災空間になります。また、地震のような再現期間の長い災害のためだけの施設整備は財政的に困難な状況です。このため、都市域の自然環境を創成することによる防災・減災計画が重要です。(自然社会環境防災分野)

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質問
自宅を耐震補強するには?

回答
◆地震に対する備えはまず耐震補強から
 西日本では南海トラフ沿いの巨大海溝型地震の発生時期が徐々に近づいてきていると言われています。その発生に備えるとともに、さらに1995年の阪神・淡路大震災をもたらした兵庫県南部地震のような都市直下地震の発生も忘れてはなりません。
 地震による災害を減らすためには、まず、住宅の被害を防ぐことが重要です。住宅が地震によって倒壊すると、人的被害をもたらすのはもちろん、火災を増やし、さらに避難の支障となるなど、二次被害にも直結するからです。したがって、住宅を耐震補強することは、そこに住む人の身を守ると同時に、周囲への被害をも減らす効果があります。

◆耐震補強は耐震診断から
 ただ、耐震補強工事にはそれなりの費用がかかることも事実です。耐震補強に着手する前に、まずは、住宅建物の耐震性がどれくらいあるかを診断してもらう必要があります。これを「耐震診断」といい、簡便なものは5万円程度で可能です(なお、1981年以前の古い建物については、自治体の補助金制度により無料またはこの金額の10%程度の負担で可能です)。
 次に、診断結果をもとに「補強設計」をしてもらう必要があります(10万~20万円程度)。補強設計ができたら、その見積をもとに自治体に工事費の補助金を申請し、それからようやく「耐震補強工事」をリフォーム業者に依頼することになります。なお、耐震補強工事に必要な工事費は100万~200万円とされていて、その50%または上限額(60万~90万円)のいずれか少ない方の補助金が工事後に自治体から支給されます。
 注意しなければならないのは、補助金の対象になる「耐震補強工事費」と言われているものは、純粋に補強に必要な費用のみを指し、実際の耐震リフォームにあたって必要になる、内装の撤去費や復元費、交換するしかない機器や配線の費用、本体骨組の補修費、引越費用などは含まれていないことです。一般に古い住宅ではほとんどの壁を耐震性能の高い壁に置き換える必要があり、骨組以外全部の壁を新設するケースも珍しくありません。ですから、実際には耐震補強工事にかかる総費用は、500万円以上と非常に高額になる場合もあるのです。

◆新しい耐震補強工法の開発:一部屋補強「壁柱」
そこで、できるだけ安価な工事費で済み、かつ住む人の身を守ることができる方法として、我々が考案したのが、一部屋のみを補強する耐震補強工法「壁柱(かべはしら)」です。
古い木造住宅にお住まいの多くの方々(特に高齢者)は、住宅に新築と同じ耐震性能を持たせたいとまでは考えておられません。一方で、地震によって倒壊した家屋の下敷きになってしまうことも、もちろん望んでおられません。したがって、居室として常時利用している一部屋だけを「壁柱」で補強します。「壁柱」は兵庫県南部地震の震度7相当の揺れにも持ちこたえられ、住宅建物全体が倒壊しないで済むことを、我々は実大実証実験(図)で明らかにしています。なお、一部屋補強の場合、工期は1週間程度で、その間引越の必要はありません。工事費は、内装にもよりますが、おおよそ80~100万円で実施可能です。
「壁柱」にご興味のある方は、(一社)大阪府木材連合会(http://www.mokuzai.or.jp/kabebashira/index.html)までお問い合わせください。(都市空間安全制御研究分野)

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