平成27年関東・東北水害 鬼怒川氾濫による常総市周辺の浸水深分布調査 (第二報)
- 災害調査報告
平成27年10月27日
平成27年関東・東北水害 鬼怒川氾濫による常総市周辺の浸水深分布調査
(第二報)
京都大学防災研究所 佐山敬洋
東京理科大学理工学部 大槻順朗、永野博之、二瓶泰雄
● 第二報について
土木学会関東・東北豪雨災害調査団の活動の一環として、東京理科大学理工学部のグループが計測した常総市全域の浸水位(26地点)および堤防決壊・溢水地点周辺(72地点)の情報を統合し、浸水深分布の推定結果を第一報(9月25日)から更新しました。主な変更点は以下の通りです。
1)浸水分布の推定に用いた浸水位の情報が35地点から133地点に増加した。
2)とくに三坂町の堤防決壊周辺、若宮戸の溢水周辺の浸水位情報(72地点)が加わり、当該地域の浸水深分布がより妥当になった。
3)別途浸水域の北限(2地点)を追加するとともに、推定の対象領域を示すマスクを変更することによって、北部の浸水域の過大評価を解消した。
全体的な浸水深の傾向は第一報と大きく変化していないので、説明文は原則第一報を踏襲し、結果の図を更新しました。
<本報の目的>
平成27年9月9日10時過ぎに愛知県知多半島に上陸した台風18号と、その後の温帯低気圧の影響で、関東地方と東北地方を中心に断続的に記録的大雨が降りました。鬼怒川上流域の日光市今市地点では9月7日から10日までの総雨量が647 mmに達し、9月10日午前6時過ぎに鬼怒川左岸25.35 km付近(茨城県常総市若宮戸)で溢水が発生、同日12時50分に鬼怒川左岸21 km付近(茨城県常総市三坂町)で堤防が決壊しました。その結果、鬼怒川と小貝川に囲まれた常総市の約40 km2の範囲で大規模な浸水被害が発生しました。
この災害を受け、筆者は9月12日に現地の状況を視察し、15日から16日に高性能GPSを用いた浸水痕跡の標高を35地点で計測した。またピーク時の浸水位を空間的に内挿し、国土地理院の数値標高モデルから得られる標高を差し引くことによって、最大浸水深の空間分布を推定しました(第二報では上記の通り東京理科大学のグループによる計測浸水位を統合して推定結果を更新した)。本報は、常総市周辺の浸水状況を把握し、今後の浸水解析等の検証に資する情報を提供することを目的として、計測データと浸水深分布の想定結果を報告するものです。
詳細な報告につきましては、【こちら】からダウンロードください。また、情報提供としまして、解析・計測データも以下からダウンロードできます。
浸水深分布解析結果 第二報版 (ArcGISラスター形式、kmz形式)