台風特性の将来変化―海面水温の上昇による台風強度のばらつき―
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日本の風水害の中で、台風は最も影響のある極端な気象イベントであり、台風に対する防災・減災には、台風の強度と確率の定量的な予測が必要です。近年、重要インフラ整備に対して、気候変動による極端に強い台風の影響を考慮した適応策が検討されつつあります。一方で、台風の発生頻度および強度の評価には、その時々の領域が持つ気象場の特性と地球システムが持つ自然変動が寄与するため、全球気候モデルを用いたシミュレーションが多く用いられています。しかしながら、海面水温(SST)の自然変動を考慮した台風特性の将来変化に関する確率的評価の実施は十分に行われていません。
森信人 防災研究所教授および志村智也 同准教授の研究グループは、台風が特に発生する9月の気候状態に着目して、台風評価に特化したアンサンブル気候実験を行い、SSTの空間パターンと台風強度特性の関係を確率的に評価しました。さらに将来の地球温暖化を想定した気候実験を行い、将来変化についても定量的に評価しました。
本研究成果は、2026年4月16日に、国際学術誌「Journal of Climate」にオンライン掲載されました。
研究者のコメント
「地球温暖化により台風という極端気象の変化を理解することは、科学的に興味深いとともに、工学的また社会的にも重要な課題です。温暖化の台風に対する影響が、極端に強い台風で顕著にあらわれることが定量的に評価できました。今回の成果は第1著者の松尾佳星さん(工学研究科社会基盤工学専攻博士後期課程)の修士論文の成果であり、博士後期課程では本研究の成果を深化させ、科学的に正確な根拠で定量的に示していく予定です。」





