台風が新たな台風の発生を増やすとはいえない ―台風発生研究の常識を覆す―

  • プレスリリース 研究報告

台風は、豪雨・暴風・高潮・高波など、様々な極端現象を引き起こし、大きな災害をもたらしうる大気現象です。そのため、どのようなきっかけで台風が発生するかを理解することは科学的にも社会的にも重要な課題です。

北西太平洋における台風発生のきっかけは、通常、5つのタイプに分類されています。このうち、既に存在している台風が新しい台風のきっかけとなる「先行台風型」の台風発生が約10%を占めるというのが定説でした。しかし、京都大学防災研究所 伊藤耕介准教授と山内健司氏(現:気象庁石垣島地方気象台)の研究グループは、多数の現実的な数値シミュレーションを行い、先行台風の存在が後発の台風の発生数にほとんど影響しないことを示しました。また、先行台風が新たな台風を発生させたように見えた事例のデータを解析すると、北西太平洋東部の低緯度側で台風発生に適した環境が整っていることが分かりました。これらの発見は、従来の台風発生研究の常識を覆すもので、既存の研究結果や現業活動の再検討が必要であることを意味するものです。

本研究成果は、2026年1月21日に国際学術誌「Journal of Geophysical Research: Atmospheres」に掲載されました。