湿度が決める温暖化時の極端な雨の強まり方―湿度が高い場合に豪雨は1℃当たり7%強まる―

  • プレスリリース

将来、地球温暖化が進行した時に、豪雨・台風・猛暑・干ばつといった極端な気象現象がどのように変化するのか、ということを理解することは、科学的にも社会的にも重要な課題です。

竹見哲也 防災研究所教授とSridhara Nayak 日本気象株式会社主任研究員(元:防災研究所特任准教授)の研究グループは、集中豪雨を念頭に置き、日本における極端な降水の温暖化時の変化の仕方について、気候予測データを用いて明らかにしました。使ったデータは、数値気候モデルを用いた現在の気候を再現した実験と、4℃上昇した温暖化気候を予測した実験結果で、20 kmの分解能を持つものです。日本を7つの地域に区分して、地域性も調べました。

現在気候、温暖化気候ともに、気温が高いほど、極端降水は強まります。この極端降水の強まり方は、気温1℃上昇当たり7%程度の割合で増大します。特に、関東・中部地方より西側の地方では、この傾向が当てはまります。極端降水の中でも最も強い雨が出現する気温は、1年を通して気温が最も高い条件よりは、その次に気温が高い条件の時です。このような気温の条件の時に、湿度が高く、水蒸気が豊富に供給され、雨を強化します。そして、温暖化が進行するほど、極端降水が強まります。

今後は、より高分解能のデータを使って、集中豪雨への気候変動の影響を適確に把握することが必要です。

本研究成果は、2025年10月15日に、国際学術誌「Scientific Reports」にオンライン掲載されました。