宇治川オープンラボラトリーに「雨庭」が設置されました
- その他
雨庭とは、雨水の一部を地中に貯留・浸透させて下水施設への雨水排水の負荷を軽減する庭園のことで、グリーンインフラの一種として各地で整備されています。ふだんは庭園として景観を楽しむことができますが、雨天時には庭園内や周辺の雨水を雨庭へ引き込むことで、内水氾濫対策として機能します。京都市内では、四条堀川交差点や百万遍交差点や京都御苑間之町口などに設置されています。
宇治川オープンラボラトリーに設置された雨庭は、1.4m×19mの細長い区画が特徴であり、先に構内に設置されていた伝統的河川工法の聖牛(*1)のモニュメントをモチーフに、雨樋アートと蛇籠(*2)を配置し、それを植生が囲む形でつくられています。本館の縦樋の一部を分岐させて、両側の雨樋から本館屋上に降った雨水を導き入れ、雨庭を潤します。蛇籠は、川の蛇行をイメージして特製の曲線形に配置したものや、降り井(*3)を形成したものがあり、他にも三栖閘門や十石舟を連想させる蛇籠が、中央の枝垂柳(シダレヤナギ)とともに伏見らしさを演出しています。植生は、年間を通していろいろな緑や和の花を楽しむことができ、しかも乾燥や日照に強い品種を選んでいて、地中に灌漑用チューブを埋設しているのでほぼメンテナンスフリーです。
これから夏にかけて植生が育ち、さらに庭らしく彩を添えてくると思われます。宇治川オープンラボラトリーにお越しの際には、晴天時には庭園を、雨天時には庭園に流れ込む雨水もあわせて見ながら、古くて新しい浸水対策をお楽しみください。
- *1聖牛:木材を三角錐状に組んで蛇籠(*2)で固定した構造物で、川岸を洪水による侵食から防ぐためのもの
- *2蛇籠:ワイヤーや竹で作った篭の中に砕石を詰め込んだもので、河川の護岸や斜面の補強などに使われている
- *3降り井:井筒の中に降りていって水をくむ半地下式の井戸