南海トラフ巨大地震が連続発生する確率を算出

  • プレスリリース 研究報告

近い将来、九州地方から関東地方にかけての太平洋側で、マグニチュード(M)8.0を超える巨大地震「南海トラフ地震」が発生することが懸念されています。確度の高い地震の発生予測は困難なものの、平時より地震が発生しやすい状態となったと判断された場合、気象庁より「南海トラフ地震臨時情報(https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/rinji/index3.html)」が発表される仕組みも始まりました。

臨時情報発表時には、具体的にどの程度地震の発生確率が高まったのかまでは発表されませんが、そのような確率の目安を把握しておくことは、防災対応を考えるうえで重要です。そのため、東北大学災害科学国際研究所の福島洋准教授、京都大学防災研究所の西川友章助教、東京大学地震研究所の加納靖之准教授からなる研究チームは、想定震源域全域の半分程度を破壊するような巨大地震が発生した後、もう一つの巨大地震(後発地震)が続いて発生する確率を、世界の地震統計データおよび過去の南海トラフ地震発生履歴に基づいて、経過時間ごとに算出しました。その結果、例えば1週間以内に後発地震が発生する確率は、それぞれ約2%〜77%(平時の約100〜3,600倍)となりました。本研究は、後発地震の発生確率には大きな不確実性が伴うことを定量的に示すとともに、南海トラフ地域は世界の他地域と比べて巨大地震の連続発生確率が大きい可能性があることを示しました。

本研究成果は、2023年1月10日19時(日本時間)にScientific Reports誌に掲載されました。

 

 

研究者のコメント

南海トラフ地震臨時情報では、続発する巨大地震に対する警戒情報を発表しますが、具体的にどれほど地震発生確率が高まるのか評価したことはありませんでした。そこで、本研究では、続発する巨大地震の発生確率とその不確かさの評価を初めて行いました。本研究の評価が、南海トラフ地震の防災・減災に役立つことを期待します。(西川友章)

 

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