複雑な波動に着目して ―方向性のある波浪状態における極限的な非線形波群ダイナミクスー

  • プレスリリース

森信人教授とアミン・シャブシュブ特定准教授らの論文Experimental Evidence of Nonlinear Focusing in Standing Water Wavesが、2022年9月28日付Physical Review Lettersに掲載されました。

 

 


海洋波の予測不可能な挙動を理解することは、海洋構造物に重要な問題です。外洋の大水深域を伝わる波浪は,非線形性により不安定な挙動を示し、場合によっては船舶の沈没に関わることが知られています。

この不安定な波浪の挙動は、一般に一方向に進む波に対して発生する変調不安定性(Modulational Instability)により発生します。また、波の振幅が極端に増幅される「集束」も、波・波相互作用により発生します。

今回、京都大学の研究チームは、このような不安定な波群が、対向してすれ違う場合に非線形干渉に関係なく,独立して安定して伝播することを実証しました。

研究チームは、異なる方向から伝播する波の複雑な相互作用を考慮した結合非線形シュレーディンガー方程式に基づくコンピューターシミュレーションと造波水槽を用いた検証実験を行いました。逆伝搬する波において、ダイナミクスを含めてモデルと実験とよく一致することを実証しました。

これらの結果は、極端な海洋波の研究だけでなく、海洋工学、非線形光学、電気工学、プラズマ物理学などの分野において、波動の非線形相互作用の役割をより良く理解することにつながると思われます。