佐山敬洋准教授が2022年度日本気象協会岡田賞を受賞しました
- 受賞
社会防災研究部門防災技術政策研究分野の佐山敬洋准教授が、 2022年度日本気象協会岡田賞を受賞しました。
詳細は以下のとおりです。
- 受賞者名:佐山敬洋准教授
- 賞の名称: 2022年度日本気象協会岡田賞
- 受賞理由:「降雨流出氾濫(RRI)モデルにより河川氾濫予測技術を向上させた功績」RRIモデルの開発と応用に取り組み、河川氾濫予測技術を向上させました。RRIモデルは、タイのチャオプラヤ川など大規模流域に適用・実装され、国内では河川水位・氾濫予測システムとして自治体でも本運用されるなど、国内外で大雨災害軽減へ多大な貢献をしました。
- 受賞日 :2022年9月28日
受賞に際して(佐山准教授)
気象学の父とも呼ばれる岡田武松先生の名を冠した栄えある賞を受賞し、身の引き締まる思いです。日本が日露戦争から太平洋戦争に向かう動乱期に気象台の科学技術を守り抜き、発展させた気骨ある気象業務の実務家であり、多くの著書や論文を残した優れた学者でもあったと知りました。
そうした先人達の功績のおかげで、当時とは比べ物にならないほど細密で高精度な気象予測が実現されてきました。今回、表彰の対象となりました降雨流出氾濫(RRI)モデルは、そうした気象予測、気候変動予測情報を入力として、河川の流量、水位、浸水、そして将来的には被害までを一体的に予測するための数値モデルです。大雨の情報だけではなかなか想像が難しい水災害の被害状況を、なるべくリアリティをもって予測することによって、住民避難を含むリスク軽減に結び付けられればと思っています。
そうしたモデルの実用化において私自身が直接貢献できたことは極めて限定的です。唯一何かあるとすれば、私の研究スタンスとして、モデルは自然の摂理を素直に表現するシンプルなものを目指し、ソースコードやデータセットは原則公開し、希望があればどなたにでも自由に使ってみていただくという方針でこれまで研究を進めてきました。そうした取り組みが実務利用に少しずつ結実し、その点を評価いただけたとすれば研究者として望外の喜びです。ぜひこれからも水文学の基礎研究と、RRIモデルの更なる改良・応用の取り組みを進めたいと思います。
多くの共同研究者の方々、研究室の学生の皆さん、指導くださった先生方に、この場をお借りして心より感謝を申し上げます。
日本気象協会岡田賞とは……
岡田賞は、明治から大正、昭和にかけて気象事業と地球物理学の発展に尽力し、気象庁の前身である中央気象台の第4代台長を務めた岡田武松氏の功績を記念した賞で、その分野で多大な功績を遺した優秀な研究者や担当者を表彰しています。1976年に創設し、今回で46回目の表彰式となります。[日本気象協会より]