弾性重力信号を使って巨大地震を瞬時に追跡する

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Bertrand Rouet-Leduc特定助教らの論文Instantaneous tracking of earthquake growth with elastogravity signals が、2022年5月11日付けNature誌に掲載されました。

 

 


誰もができる限り早く巨大地震の発生を知りたいと願っています。そこで、京都大学とGéoazurのチームは、「迅速な弾性重力信号」(PEGS)を検出するための深層学習AIに基づいた新たな手法を開発しました。PEGSは、巨大地震の大質量運動によって生成された重力変化であり、地震計で記録することができます。PEGSはまた、進行中の地震に関する情報を光速で伝え、最も速い地震波よりもはるかに速く到達します。

 

「これらの信号によって、地震がマグニチュード8以上に達した後すぐに、リアルタイムで地震の広がりを追跡できます」と著者のBertrand Rouet-Leducは述べています。

 

しかし、従来は、PEGSの微小な振幅のせいで、地震や津波警報システムへの適用は妨げられてきました。地震波に基づく現在の早期警報システムは、揺れから直接マグニチュードを推定します。マグニチュード9の地震はマグニチュード8の地震の30倍のエネルギーを持つため、早期警報システムが飽和してしまい、マグニチュード8よりも大きな地震については推定できない傾向があります。

 

「私たちの研究チームがPEGSによって運ばれる情報を利用して深層学習AIモデルを開発したとき、地震をマグニチュードに従って分類する最初のプロトタイプでの成功に驚き、とてもうれしく思いました」とRouet-Leducは説明します。

 

その後、研究チームは、地震が特定の規模に達した後、リアルタイムで瞬時に地震を追跡する深層学習モデルの力を実証することができました。アルゴリズムはさらに生データで試験することが必要であるものの、科学者はその結果が地震と津波警報システムを改善する可能性があると信じています。

 

「私たちの新しいモデルは、大地震後に起きる津波を人々にすぐに知らせるのに役立つかもしれません」と著者は結論付けています。