南海トラフ地震の詳細な固着はがれの検出に成功! ―紀伊半島下の想定震源域でのスロースリップの”すべりの遅れ”を発見―

  • プレスリリース 研究報告

本研究は、澁谷拓郎教授らが、国立研究開発法人 建築研究所をはじめ他機関と共同して2013年~21年にかけて実施したものです。研究論文は、12 月21日(イギリス時間午前10時、日本時間同日19時),英国 Nature Publishing Group のオンライン科学雑誌「Nature Communications」に掲載されました。

 

研究論文タイトル:Effects of episodic slow slip on seismicity and stress near a subduction-zone megathrust(仮訳 沈み込み帯で発生する巨大地震付近の地震活動度合いと応力に及ぼすスロースリップの影響)

 

 

  • 海溝型巨大地震の準備過程といわれるゆっくりすべり(スロースリップ)*1の発生が、スラブ内地震(沈み込む海洋性プレート内部で発生する地震)*2と連動して起きることを解明した。
  • その連動の原因は、地下深部の水(地殻流体)の移動であることを、世界で初めて、長期的かつ継続的に収録されたスラブ内地震の観測データの検証により示した。
  • また、これまで、測地学的手法で捉えられてきたゆっくりすべりとプレート間での固着はがれの様子を、世界で初めてスラブ内地震の観測データを用いてより詳細に捉えることに成功した。

 

(用語解説)

*1ゆっくりすべり:スロースリップまたはスロー地震と呼ばれる、継続時間が数日から時に数年に及ぶゆっくりとした地殻変動現象。日本列島では海溝型巨大地震の縁のプレート境界にて発生する。通常の地震と比べ、解放される応力や地震動は著しく少ないが、海溝型巨大地震の準備過程を担うと考えられている。

*2スラブ内地震:沈み込む海洋性プレート(スラブ)内部で発生する地震。時に被害地震となることがあり、1994年M7.8釧路沖地震2001年M7.0芸予地震なども該当する。

 

 

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