2021年トカラ列島近海の群発地震に対する緊急観測の実施

  • 災害調査報告

鹿児島大学地震火山地域防災センター・南西島弧地震火山観測所と京都大学防災研究所宮崎観測所は、2021 年4 月9 日23 時台から始まり、最大震度4を複数回観測するなど、顕著な地震活動が生じたトカラ列島近海において、緊急の海底地震観測を開始しました。大学や気象庁の付近の島嶼域地震観測点が北東-南西方向に概ね直線上に配列するため、陸域のデータのみの解析では震源位置の精度が悪くなっており、今回の観測によって島嶼域の陸上地震観測点のみのデータ解析では限界のある震源位置の精度(緯経度、深さの精度)を有意に改善し、今回の群発地震活動の発生領域の把握や発生原因の検討、地域社会への情報発信に不可欠な基礎資料を収集します。海底地震計の設置は、長崎大学水産学部練習船「長崎丸」第67次航海(教育関係共同利用拠点制度に基づく)にて実施され、2021年4月17日22時台に設置が完了し、同日23時より観測を開始しました。設置された海底地震計は、2021年6月~7月の間で回収を予定しており、回収後に鹿児島大学や気象庁の陸上地震観測点との併合処理を実施します。

 

図1 今回設置した海底地震計の位置と気象庁による震央分布

 

海底地震計の設置作業(撮影:京都大学・山下助教)

 

 

 

海底地震計の投入前最終確認作業(撮影:鹿児島大学・仲谷特任助教)