3月1日新燃岳小規模噴火に伴って 伊佐観測坑道で記録されたひずみ変化について(速報)
- 災害調査報告
3 月1 日新燃岳小規模噴火に伴って伊佐観測坑道で記録されたひずみ変化について(速報)
地震予知研究センターの宮崎観測所が管理する鹿児島県湧水町に設置された伊佐観測坑道の伸縮計(新燃岳から北西に約18km:図1 参照)に、本年3 月1 日のごく小規模な噴火に関連したひずみ変化が記録されました。変化量は観測点から見て新燃岳方向が伸びの変化を示しています。図2 中の①、②、④は,火山性地震・火山性微動の変化と良い一致を示しています(③の変化は火山活動による変化ではない可能性が高いと思われます)。
詳細は、こちらをご参照ください。
図1.(上図)新燃岳と伊佐観測坑道および図2 で示した地震観測点の位置関係。(下図)伊佐観測坑道内部の様子。伸縮計は断熱材に保護されており、右がE1成分、左がE3 成分である。E1 成分に直交するようにE2 成分が設置されている。
図2.2018 年3 月1 日の伸縮計記録(下図)と霧島山に設置されている気象庁・防災科学技術研究所の短周期地震計記録(上図).横軸は時間を示している。伸縮計記録は1 秒間サンプリングのデータから1 分間平均を取っており、E1 方向がおおよそ新燃岳火口方向に向いている。図の上向きが伸びのセンスを示し、グレーの陰を付けた場所がひずみ変化が見られた時間帯を示している。①は火山性地震,②と④は微動震幅が大きくなるタイミングにおおよそ一致している。なお、③については火山活動とは別の要因による変化の可能性が高い。
今回の噴火活動に、地下深部のマグマだまりから供給された新しいマグマが関与しているとすると、今後2011 年のような本格的なマグマ噴火に移行する可能性も否定できません。引き続き、今後の火山活動の変化に注意を払う必要があります。