地盤に関するご質問
Q&A

質問
地盤災害の種類は?

回答
地盤に関する災害には、地震や豪雨による土砂崩れ、土石流、液状化、沈下、盛土の沈下・崩壊などがあります。さらに地盤環境に関しては、有害物質の地下水汚染、廃棄物処分場からの有害物質の漏出などがあります。(地盤防災解析研究分野)

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質問
斜面災害のハザードマップはどうすれば見ることできますか(どこで手に入れることができますか)?

回答
斜面災害では他の災害に比べて危険度情報の公開があまり進んでいません。したがってハザードマップについても一般市民を対象としたものはほとんどありません。技術的側面から見ると、斜面災害の場合、地図作成の前提となる「災害の発生する位置と規模」を特定する事が難しいという困難さがあるからだと思われます。しかし、斜面崩壊のタイプによってはそれらが限定されるため、予測が可能になるケースがあります。地震の際に発生する谷埋め盛土の地すべり的変動に関する予測はその代表例です。谷埋め盛土の変動は埋め立てた範囲で発生することが予めわかっているため、災害の起きる位置と規模(最大の)を明確にすることができます。このタイプの斜面災害(地震の際に発生する谷埋め盛土の変動)について以下のような手順で作成したハザードマップが、既に公開されています(斜面防災都市、理工図書2002)。
1 実際の災害を調査する
2 変動した谷埋め盛土と変動しなかった谷埋め盛土の位置、形状などのデータベースを作成する
3 データベースから変動に関する統計的な性質を検討し、予測モデルを作成する
4 予測モデルを実際の被災地に当てはめ、予測の精度を確認する
5 災害の発生が起きそうな地域において予測結果を地図化する
現在はまだ少数ですが、こうしたハザードマップの数を増やすことによって都市域における斜面防災発展すると期待されます。(傾斜地保全分野)

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質問
地形を変えることと斜面災害の関係を教えてください。

回答
人工改変地形は文字通り人為的に形状を変化させた地形のことです。例えば山の尾根を削り、谷を埋め立てて造られた人工地形等を指します。こうした開発行為によって作り出された地形は、激しい降雨や強い地震等を誘因として、しばしば斜面災害を引き起こします。これには斜面の力学バランスの変化、斜面崩壊と密接な関係のある地下水の変化(水文条件の変化)等が複雑に関連していると考えられます。特に、谷を埋め立てた「谷埋め盛土」は、地震に対しては脆弱な人工地盤であることがわかっています。1978年の宮城県沖地震の際の仙台市及びその周辺、1993年の釧路沖地震の際の釧路市及びその周辺、1995年の兵庫県南部地震の際の阪神地域では、多くの谷埋め盛土が地すべり的に変動し、その上に建設されていた住宅が被害を受けました。また最近では2000年の芸予地震によっても松山市や呉市の都市域で人工地形改変に関連した斜面災害が多く発生しました。我が国では高度経済成長以後、大都市域で急激に斜面災害増加しましたが、その多くは開発すなわち人工地形改変に伴う斜面災害でした。こうした都市型の災害においては、地質・地形等の地盤条件だけでなく施工技術、社会経済的的要因等も含めた総合的な視点から災害の発生を予測し対策を行うことが求められています。(傾斜地保全分野)

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質問
京都にはなぜおいしい水の出る井戸がたくさんあるの?

回答
日本の沖積平野地盤の多くは砂れきと粘土の互層からなる地質構造をもっています。京都盆地は三方を山で囲まれているため降った雨の多くが山間部で砂礫層に浸透し、被圧地下水として南方に流下しています。この被圧地下水が流れる層はいくつか確認されており、第1、第2被圧地下水などと呼ばれています。現在では100m以上深く掘らなければ水質の良い地下水は得られないようです。また京都市南部の藤森神社の「不二の水」などのように、断層によってできた岩の割れ目に沿って湧水しているところもあるそうです。(地盤防災解析研究分野)

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質問
京都市内の地盤について教えてください?

回答
平成10年度(1998年度)から京都盆地の地下構造調査が開始され、詳細な地下構造が明らかになってきました。  詳しくは「新関西地盤-京都盆地-」(編集:関西地盤情報活用協議会)をご覧下さい。表層地盤に関しては、京都市内の地盤は水はけが良く比較的良い地盤とされ、南部のおぐら池干拓地付近では液状化の可能性があります。また京都盆地の地下構造は北から南へ深くなっているので、大地震の際には大きくゆれる地点、いわゆる震災の帯が出てくるかもしれません。これについては研究が待たれます。(地盤防災解析研究分野)

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関西空港はこのまま沈下しつづけるの?

回答
大阪湾には数百メートルにわたって粘土と砂礫層の互層が堆積しています。関西国際空港は海上の埋立人工島であるため,非常に大量の土を海底地盤の上に載せないといけません。そのため,地下の比較的浅いところにある粘土層は大きく沈下しますが,この部分は地盤改良によって沈下を早期に収束させることが出来ます。ところが,洪積層と呼ばれる古くて深い位置に堆積している粘土は時間効果といって長い年月のうちにしっかりとした構造ができて,一見強いのですが,長期的にはじわじわと変形するような性質を持っています。このため,変形に時間を要し,長期間にわたって沈下が継続することになるのです。しかし,最近では沈下速度が徐々に小さくなってきており,空港の安定した供用には問題がないと考えられます。詳しくはhttp://www.kald.co.jp/を見て下さい。(地盤防災解析研究分野)

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質問
2003年十勝沖地震(M8)で住宅被害が少なかったのはなぜ?

回答
北海道では雪に対する備えから、住宅の屋根は軽くできています。また冬場地面が凍結し、「凍上」といって凍結した地盤が膨れ上がってくる現象があるため、建物の基礎には1m程度の深さをもつ布基礎が使われています。このように屋根は軽く基礎は頑丈なつくりになっているため地震に対しても強いといえます。(地盤防災解析研究分野)

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沖積平野ってなんですか?

回答
沖積平野とは、河川による流下堆積物からなり、形成年代が若い平野のことをいいます。かつて地質学では新生代第4紀を1万年前を境に二つに区分し、新しい方から沖積世(Alluvial epoch)、洪積世(Diluvial epoch)と呼んでいました。現在ではそれぞれ完新世(Holocene epoch)、更新世(Pleistocene epoch)と呼び方が変更されました。日本では関東平野や濃尾平野、大阪平野など、ほとんどの平野が沖積平野で、国土の約10%を占めています。世界的にはアメリカのミシシッピ-デルタ、ベトナムのメコンデルタ、エジプトのナイルデルタが有名です。沖積平野は肥沃なため、大都市が形成されています。(地盤防災解析研究分野)

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なぜ液状化が起きるの?

回答
液状化は、地下水面以下で緩く堆積した砂れき層をもつ地盤が地震で揺らされると起きます。緩く詰まった砂に振動を加えると、砂粒の間の空間が小さくなって、もっと密に詰まろうとします。このときその空間に空気しかなければ、砂は単純に密になって堆積が小さくなり地盤は沈下するでしょう。この時空気は圧縮されます。しかし、もし砂粒の間の空間が水で満たされていたらどうなるでしょう?今度は空気の代わりに水が圧縮されますが、水は空気に比べると圧縮されにくいので、水圧(過剰間隙水圧)が急上昇します。地中の水圧が上がるとそれまで土の重さを支えていた砂粒が水に浮いたような状態になります。この状態が液状化と呼ばれています。この状態が長く続けば、液状化している土より重たいものは沈み、軽いものは浮いてきます。地震の時には液状化によってビルが地中に沈んだり、マンホールが浮き上がってくるのはこのためです。地震後しばらくしてから、地表面に泥水が噴出した後が見られることがありますが、それは液状化の痕跡であると考えられます。(地盤防災解析研究分野)

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地盤の側方流動ってなに?

回答
地盤が液状化を起こすと、あたかも水が低い方へ流れるように、液状化した地盤が移動することがあります。時には10m以上も移動することがあります。このような側方流動で問題になるのは、上に建っている建築物の移動や沈下だけではありません。地中に埋まっている配水管やガス管などが破断する恐れがあります。また港湾では岸壁付近の地盤が液状化して岸壁が海側へせり出した結果、背後の地盤が側方流動により移動・沈下し大きな被害を受けることがあります。阪神大震災での被災総額約10兆円の内、港湾関係の被害総額が約1兆円とされており、経済的にも大きな影響を与えます。(地盤防災解析研究分野)

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液状化しやすい場所はどんなところですか?

回答
液状化しやすい場所は、河川下流部の沖積平野や埋立て地です。現在では液状化の危険がある場所に重要構造物を建設する場合には、液状化対策が義務付けられています。しかし、一般の住宅に関しては、費用の問題もあり、家主と建築業者に委ねられているのが現状です。(地盤防災解析研究分野)

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液状化を防ぐ方法ってあるの?

回答
1964年のアラスカ地震、同年新潟地震以降、液状化に関する研究が進み、液状化のメカニズムが解明され、その対策が提案されてきました。埋立地では地面に穴をあけ砂の杭を打つことで地盤を締固めると同時に水はけをよくする「サンドコンパクションパイル工法」、「サンドドレイン工法」等が使われます。その他にはおもりをクレーンで持ち上げ自由落下させて地盤を直接締固める「動圧密工法」があります。一般の住宅には非液状化層まで杭基礎を打つなどの対策が考えられます。(地盤防災解析研究分野)

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自分が住んでいるところの地盤について知りたいのですが?

回答
足元の地盤を知るのに一番いいのは、掘ってみることです。自分でやらなくても建設業社が道路や建築物を建設する際に、標準貫入試験などを行って地盤の性質を調査しています。これまではこうしたデータは各建設会社が保管していたのですが、近年これらを集めデータベースとして一般に公開しようという動きがあります。例えば神戸市では「神戸JIBANKUN」というデータベースがあり、こうべまちづくりセンターで閲覧することができます。その他、大阪平野や京都盆地に関しても地盤情報のデータベース化が図られています。(地盤防災解析研究分野)

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標準貫入試験(SPT)とは?

回答
ボーリング孔をりようして、外径5.1cm、内径3.5m、長さ81cmの中空のサンプラーを地中へ打ち込む際に生ずる地盤の抵抗を測定する原位置試験のこと。このとき与える打撃エネルギーの標準値として、63.5kgfの重錘を75cmの高さから自由落下させ、ボーリング孔底の乱さない土中にサンプラーを30cm打ち込むのに必要な打撃回数(N値)を貫入抵抗としている。(赤井浩一著:土質力学)また乱されてはいるが実際の土試料を収集して室内実験に用いることができる点で優れている。打撃回数が人によってばらつきがあるなど問題はあるものの、多くの現場で標準的に使われている。例えば、砂質土であればN値20以下の地盤で液状化する可能性が高い。またN値50以上は非常に密な地盤とされる。(地盤防災解析研究分野)

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コーン貫入試験(CPT)とは?

回答
鋼製の円錐体を地中に貫入し、そのときの抵抗値から地盤強度を求める試験のこと。現在、国際的に広く用いられているのは電気式静的試験機で、先端抵抗、周面摩擦及び間隙水圧を同時に測定するピエゾコーンが主流である。(赤井浩一著:土質力学)得られた結果を、標準貫入試験のN値に換算して用いられることも多い。(地盤防災解析研究分野)

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地盤の強さはどうやってはかる?

回答
原位置では標準貫入試験やコーン貫入試験を行います。盛土などの建設現場では、締固め度の管理を行い地盤の強度が基準を満たすかどうかを判定しています。(地盤防災解析研究分野)

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地表では地震波が大きくなるのはなぜ?

回答
一言でいえば、表層が自由端であるためです。例えば、固い岩が露出しているしているところで計測される地震波の振幅は、入力波の2倍になります。しかし、通常の地盤では基盤岩の上に比較的やわらかい土が堆積しています。この場合には、地表面の振幅は増幅されもっと大きくなります。理論的には基盤岩と表層地盤の剛性率Gの差が大きい地盤構造ほどこの増幅率は大きくなります。(地盤防災解析研究分野)

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なぜ粘土は水を通しにくいの?

回答
地盤に関する災害には、地震や豪雨による土砂崩れ、土石流、液状化、沈下、盛土の沈下・崩壊などがあります。さらに地盤環境に関しては、有害物質の地下水汚染、廃棄物処分場からの有害物質の漏出などがあります。(地盤防災解析研究分野)

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土砂災害からどう身を守る?

回答
◆「雨の降り方」に着目
「土砂災害」といえば、ふつう土石流や斜面崩壊による災害を想像しますが、落石や表層崩壊によるものから深層崩壊によるものなど、色々な規模の現象が土砂災害の原因となります。したがって、避難方法はそれぞれの現象に応じたものであることが望ましいと考えられます。と言っても、土砂災害の原因となる現象の発生を詳細に予測することは難しい問題です。しかし、降雨量や降雨範囲、地形・地質条件によって土砂災害の形態はある程度分類できます。ここでは、その中でもとくに「雨の降り方」に着目した避難について、以下で考えてみます。

◆土砂災害の2つのタイプ
タイプ1「強い雨が2、3日続く」: 土砂災害の形態の一つは、強い雨が2、3日継続することで極端に総降雨量が大きくなるような豪雨による土砂災害です。例として、2011年の紀伊半島大水害が挙げられます。地形・地質的に深層崩壊が発生しやすい地域であれば、深層崩壊、天然ダムの形成とその決壊による洪水によって災害は巨大化することがあります。この場合は、深層崩壊が発生するような累積降雨量になる前に、安全な地域に避難することが望ましいです。
タイプ2「非常に強い雨が急に数時間続く」: もう一つの形態は、非常に強い豪雨によって急速に土砂災害の危険が増し、しかもそれが数時間継続することで多数の表層崩壊、流木を含んだ大規模な土石流が発生するものです。2014年の広島市や2013年の伊豆大島での土砂災害がその例です。この場合は、急激に危険な状態に陥るため、自宅またはその付近でより安全な場所に逃げることが唯一の方法になることもまれではありません。

◆どのタイミングで避難するべきか?
多くの場合、「土砂災害警戒情報」が発表されるときには土砂災害発生の危険性はかなり高くなっているので、これが一つの避難のタイミングの目安になります。ただ、この警戒情報には土砂災害の形態の情報は含まれません。豪雨が紀伊半島大水害のように数日間続くと予想されるときには(タイプ1)、警戒情報が発表された直後に、広域避難などにより安全な場所に避難する必要があります。いっぽうで、広島市土砂災害のときのような急激な豪雨の場合は(タイプ2)、警戒情報が出た後すぐに土石流などが発生することが考えられるので、警戒情報が出る前に避難する、あるいは、付近のより安全な場所へ緊急避難をする必要があります。
土砂災害が発生するようなときは、家屋周辺や道路の冠水、洪水氾濫、河岸侵食、橋梁の流失などのハザード(危険)も発生するのが通常です。大規模な崩壊や土石流が発生するときほど、ハザードが広範囲に多数発生し、避難することが困難になります。これらを避けて安全に避難するためには、避難を開始する時期を適切に計ることが大切です。様々なハザードを避けるためには,土砂災害警戒情報が出されるより前に避難することも考えておかなければなりません。(流砂災害研究領域) 地盤に関する災害には、地震や豪雨による土砂崩れ、土石流、液状化、沈下、盛土の沈下・崩壊などがあります。さらに地盤環境に関しては、有害物質の地下水汚染、廃棄物処分場からの有害物質の漏出などがあります。(地盤防災解析研究分野)


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質問
地盤の緩みとは?

回答
豪雨や地震の後には、気象予報士が「地盤が緩んでいるため」と、土砂災害に注意を促していますね。 この「地盤の緩み」について地盤工学の視点から解説します。  地盤は土粒子がお互いにかみ合って形成する構造(土骨格)とその隙間(間隙)を埋める水や空気から成り立っています(図1)。 この隙間を水だけが満たしている状態を飽和、水と空気が満たしている状態を不飽和と呼びます。地面を掘った時、ある程度の深さまで掘ると地下水が出てきますが、この地下水の深度よりも浅い部分の地盤は不飽和、深い部分の地盤は飽和と考えるのが一般的です。 図2はこの状態を実験室で再現したものです。透明の筒の中に乾燥した砂を入れ、その下の銀色のバットに水を入れてしばらく放置した状態です。バット内の水面より高い部分は不飽和ですが、完全に乾燥しているわけではなく、水面から離れるほど色が薄くなる(水分量が減る)のがわかります。水面より低い飽和部分では、水圧は正の圧力(圧縮力がかかる)ですが、水面より高い不飽和部分では、水圧は負の圧力(負圧)となります。この負圧は土骨格を強くする働きを持っており、湿った砂の方が乾燥・飽和した砂よりも強くなります。砂場で山やトンネルを作るときに、少し砂を湿らせた方が作りやすかった経験をお持ちの方も多いと思います。  さて、本題です。多くの雨が降ると、地表面から雨水が地盤中に浸み込みます。また、地形によっては別のところで降った雨の影響で地下水位が上昇する場合もあります。このとき、地下水面より上にある不飽和地盤が徐々に水で満たされることになり、負圧が失われ土骨格が弱くなります。これが長雨で地盤が緩む一因となります。また、斜面には重力によって斜面下流方向の力が作用していますので、地盤が弱くなると斜面が下流方向に動いて亀裂が発生する場合もあり、さらに進行すると斜面が崩壊します。  地震による地盤の緩みはさらに複雑で、地震による振動によって土骨格や水分状態が変化し、地盤が弱くなります。雨と同様に亀裂が発生し、斜面が崩壊する場合もあります。また、地震で亀裂が発生したところに雨が降ると、雨水が地盤中に浸み込みやすくなりますので、地震の後の雨は要注意ということになります。気象庁はこのような地震による地盤の緩みを考慮し、揺れの大きかった地域については、土砂災害を対象とする大雨警報・注意報や土砂災害警戒情報の発表基準を引き下げて運用しています。   (地盤防災解析研究分野)



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