日向灘における海底観測機器を用いた地震・測地観測の実施について

  • 研究報告

 山下裕亮 地震予知研究センター助教と東京大学地震研究所の篠原雅尚教授らの研究グループは、2017年3月より宮崎県沖の日向灘において長期海底地震・測地観測を実施します。本研究では、日向灘プレート境界浅部(海溝軸付近)で発生する「スロー地震」と呼ばれる、通常の地震とは特徴が異なる現象を詳細に調査し、スロー地震の発生様式や特徴の解明を進めます。
 この結果は、南海トラフ沿いで発生する巨大地震とスロー地震との関係性を理解するための基礎情報となるほか、巨大津波の発生につながる可能性があるプレート境界浅部をより正しく理解するための科学的知見となり、将来の津波評価やシミュレーション研究の高度化などに生かされます。
 
 詳細は、こちらをご参照ください。
 

西南日本で発生するスロー地震と巨大地震との位置関係.南海トラフ沿いで発 生する巨大地震の浅部側と深部側でスロー地震が発生しています。浅部スロー地震については、スロースリップは未だに直接観測されていません。


 

自己浮上式海底地震計による観測の概要、観測データは組み立て・解体時に取り出されます。DONET やS-net などのケーブル式海底地震計と異なり、リアルタイムでデータを取得することは出来ませんが、機動性に優れ、目的に応じた配置をプランニングできるので、今回のような多点稠密観測が可能です。


 

海底観測機材の写真、上は長期観測型海底地震計(球の直径50cm)、下は広帯域海底地震計(球の直径は65cm)、海底圧力計は、長期観測型海底地震計に圧力計センサーがつけられたもので、長期観測型海底地震計と外観はほぼ同じです。回収の際は、おもりを切り離して浮上させます。