地球全体の波浪特性の変化傾向と自然変動の関係を解明 -地球温暖化の沿岸域への影響を定量化-

  • プレスリリース 研究報告

森信人 防災研究所教授、志村智也 同准教授、Adrean Webb 同特任准教授は、メキシコ自治大学およびオーストラリアMacquarie大学、米国NOAAと共同で、地球全体の波浪の自然変動と将来変化予測の関係について解析を行いました。今回の研究では、過去の40年間の波浪データをもとに、波を生成する卓越した風の代表的な空間分布を分類しました。

 

その結果、既に生じている人為的な気候変動の波浪への明確な影響が見つかりました。特に、南オーストラリアと西オーストラリア、太平洋とカリブ海の島々、東インドネシア、南アフリカの海岸では、地球温暖化により強力な波浪がすでに発生しつつあることがわかりました。これは海面上昇に加えて沿岸域における温暖化の影響をさらに強め、特にツバル、キリバス、マーシャル諸島などの太平洋の低平地にある島国をさらに危険にさらすことになります。

 

本研究成果は、地球温暖化に伴う我が国の沿岸域の脆弱性の将来変化や適応策、特に砂浜の変化や海洋生態系への研究展開が期待されます。

 

本研究成果は、2021年6月8日に、国際学術誌「Geophysical Research Letters」のオンライン版に掲載されました。