2018年のハワイ・キラウエア火山噴火の現地災害調査

  • 災害調査報告

 2018年5月からハワイ島キラウエア火山が活発な噴火活動を続けています。このたび、James Mori 地震防災研究部門教授及び大見士朗 同部門准教授は、現地に赴く機会を得て、この噴火活動が、地域社会やハワイ火山国立公園、さらにはそこを訪れる観光客ににどのような影響を及ぼしているかについての現地調査を行いました。
 初めにハワイ郡政府のHarry Kim郡長にお会いしました。Kim郡長はかつて危機管理の責任者であり、火山や津波の災害対応に経験を持つ人物です。Kim郡長によると、この噴火により、600件以上の家が破壊され(Kim郡長自身の家を含む)2500人以上が避難を余儀なくされました。また1日に5000人以上が訪れるといわれている著名な国立公園であるハワイ火山国立公園も閉鎖されました。Kim郡長からは、USGS(米国地質調査所)の科学者、行政担当者、国立公園局担当者、さらには危機対応の担当者などの、それぞれの役割分担と情報発信についてのお話を伺い、議論を行いました。
 次に、USGSの科学者と国立公園局の担当者から、この噴火活動によるハワイ火山国立公園への影響に関する意見を伺いました。加えて、国立公園局担当者のご厚意により、USGSと国立公園局が、火山活動とハワイ火山国立公園の閉鎖の現状について、地域の一般住民に対して説明を行うタウンホールミーティングに参加する機会を得ました。
 活火山を訪れる多くの観光客の安全確保の問題については、本研究所で研究監視観測を行っている桜島や焼岳等でも重要な課題となっています。


 

ハワイ郡政府庁舎の執務室にて。向かって左から、Paul Okubo氏 (USGSハワイ火山観測所)、
James Mori教授、Harry Kim 郡長(ハワイ郡政府)、大見士朗准教授、2018年6月27日撮影。
 

ハワイ島南東海岸にて海に流れ込む溶岩流。
溶岩流は、かつてのKapoho湾をすべて埋め尽くした。2018年6月25日撮影。
 

国立公園局が実施した一般向けのタウンホールミーティング。
USGSの科学者と国立公園局のスタッフから情報が提供され、
参加者からの多くの質問に答えた。2018年6月28日撮影。
 

キラウエア火山のFissure 8 火口から流れ出る溶岩流。
この溶岩流により、ハワイ島南東部のプナ地区の家々が破壊されている。2018年6月26日撮影。