特集│火山と向き合う-防災研の火山防災研究

噴石の飛散・衝突破壊性状を調べる

丸山 敬
MARUYAMA Takashi
気象・水象災害研究部門
耐風構造研究分野 教授

大規模な火山噴火の場合、噴出物が広範囲に降り注ぎ、被害が拡大します。噴煙には火山ガスだけでなく、いろいろな大きさの粒子が含まれ、種々の被害を引き起こします。大きくない噴火では、火山灰などの細かな粒子は遠くまで飛散しますが、 大きな噴石は火口近くに落下して人の住む地域まで飛来することはめったにありません。しかし、小石程度の大きさの噴石は噴煙の高さ、風の強さや風向きによっては人家に降ってくる場合があります。噴石がどのぐらい飛ばされるかは、形状や重さによって変化するので、空力特性を求めるために、実際に噴石の模型をドローンで吊り上げて落下の様子を計測したり(図1)、風を当てて噴石に加わる風力を測定します。これにより、飛散性状を計算して落下スピードを求め、衝撃力を予測することができます。噴石が衝突する屋根や壁・窓など、建物の外装材がどのくらいの衝撃力に耐えられるかを計算などで求めるのは難しいことが多いので、実物実験を行います(図2)。エアーキャノンと呼ばれる射出装置を用いて瓦や壁材、ガラスなどに噴石を衝突させ、どれぐらいの衝撃力で割れたり、穴が開くかを明らかにし、被害の発生予測に役立てます。

 

図1 ドローンを用いた噴石模型落下実験

図2 エアーキャノンを用いた太陽光パネルへの噴石衝突実験