特集│未来につなげる防災研究─ 防災研学生の研究生活・キャリアパス│卒業後のキャリアパス 先輩たちの経験

アカデミア― 興味の赴くまま動いた結果……

中居 楓子
名古屋工業大学大学院工学研究科
社会工学専攻環境都市分野
助教
(巨大災害研究センター災害情報システム研究領域/情報学研究科社会情報学専攻 2017 年 3 月博士後期課程修了)

現在、私は洪水や津波のリスクと共存する都市について、フィールド研究や数理モデルを使った研究を仕事にしています。大津市出身で琵琶湖の近くに住んでいたため、小さい頃から水の問題に関心がありました。小学生だった2001年に大津で世界湖沼会議が開催されたときは同級生数名で小学校の先生に引率してもらい、海外からの参加者と交流しました。そこで初めて研究者という職業の存在を知りました。中学から大学までは親の勧めで関東の一貫教育校に行き、良い先生との出会いによって川の自主研究を始めました。昭和以降に手書きで記録された荒川水系の水質データを電子データ化して統計分析をしたり、出水後の河床変動を測量したりといった研究活動が楽しく、大学院に行くことにしました。修士課程で京大に来てからは津波避難の研究に取り組みましたが、それまでの我流の研究では欠けていた勉強や自分の力不足を知り、一度大きな絶望を味わいました。それでも友人との自主的な勉強会や、見捨てずに指導くださった防災研の先生のおかげで学位を取ることができました。その後は幸運にも現在の職場に就職が決まりました。名古屋に来て5年、 新たな世界を広げつつ、 今 も 水に関わる研究の仕事を続けています。

中部地方の研究者・技術者による木曽川研究会にて。岐阜の鮎漁の見学