特集│未来につなげる防災研究─ 防災研学生の研究生活・キャリアパス|卒業後のキャリアパス 先輩たちの経験

地方自治体 ― 地味だけれども、地道に取り組む

小西 慶哉
滋賀県南部土木事務所河川砂防課
技師
(巨大災害研究センター巨大災害過程研究領域/情報学研究科社会情報学専攻2020年3月修士課程修了)

私が高校1年生の時に東日本大震災が発生しました。私は被災したわけではありませんが、高校生の私にとって震災の報道は衝撃的でした。それまでも“災害”に興味を持っていましたが、その興味が一層強いものになりました。

防災研では、住民の方と関わる形で防災の取り組みを行っていました。将来被害にあうと分かっていても、自分事には感じられない災害について、どのようにすれば興味を持ってもらえるのかを常に考えていた気がします。

そして今私は滋賀県に就職し、県管理河川の維持管理に関わる仕事をしています。川の流れの妨げになる樹木を切ったり、川にたまった土を取り除く工事をしたりと、やっていることは地味(おそらくこの誌面に登場される方の中で一番地味だと思います(笑))ですが、大雨のたびに住民さんから「ありがとうございます」と声をかけていただいています。

私が働き始めてからでも、大きく報道されていないだけで、大雨によって護岸や橋が崩れる現場をたびたび目にしてきました。みなさんの住んでいる地域もニュースにならないだけで、意外と多くの被害が出ているかもしれません。

災害の被害を少なくするためには地味な積み重ねも多いです。しかしながらそれを避けていては、被害は減っていきません。地味だけれど、地道に進めていくことが私の仕事です。

大雨による被害の確認