特集│未来につなげる防災研究─ 防災研学生の研究生活・キャリアパス|卒業後のキャリアパス 先輩たちの経験

インフラ ― 土木、防災そして鉄道維持管理へ

有吉 望
東海旅客鉄道株式会社
総合企画本部投資計画部
(気象・水象災害研究部門沿岸災害研究分野/工学研究科社会基盤工学専攻 2018 年 3 月修士課程修了)

私はJR東海の投資計画部で、東海道新幹線の線路・土木構造物(レール、橋など)に関する設備投資施策の計画を適切に判断し、計画をとりまとめる業務を行っています。私が土木を志したきっかけは、高校生のときに発生した 東日本大震災でした。防災や復興の基盤である土木を学びたいと考え、地球工学科に入学しました。土木とは土木構造物のための工学というだけでなく、より良い社会を築くための社会的な営みそのものである、と大学で学んだことで今の自分があると考えています。

研究室は防災研究所の沿岸災害研究分野を選択し、温暖化によって台風や高潮がどれだけ強度を増すかを研究しました。ハイレベルな環境下での研究生活で、将来我々はどのようなリスクに備える必要があるのかを考えさせてくれました。

就職活動では、より良い社会を築く決意でJR東海に入社しました。災害への備えは鉄道の課題であり、防災施策を判断する際は防災研究の素養が役立っています。また、JR東海が建設を進めているリニア中央新幹線は大規模災害への抜本的な備えでもあり、私も今後携わりたい分野です。

これまで人生の岐路では興味のある道を選んできましたが、今の仕事はやりがいがあり充実しています。もし進路に迷われたときは、自分の興味のあることに目を向けてほしいと思います。

私自身も工事監督を経験した、東海道新幹線の安全をさらに高める工事の一例