特集│未来につなげる防災研究── 防災研学生の研究生活・キャリアパス

座談会

大学院ってどんなところ?  防災研で何をしてる?

齋藤 渓太さん
耐震基礎研究分野 M1
佐藤 笙子さん
沿岸災害研究分野 M2
澤田 尚樹さん
災害気候研究分野 M1
チョイ ギュチャンさん
地盤防災解析研究分野 M1

防災研の修士課程に在籍している大学院生4名に学生生活について語ってもらいました。

大学院での過ごし方や、大学院生が日々考えている事柄をのぞいてみましょう。

 


―― 防災研を選んだ理由と、今まで大変だったことや楽しかったことは?

 

澤田 学部時代は京大の総合人間学部にいました。「バイオロギング」という分野に出会ったのが防災研に来た理由です。海鳥にカメラやGPSをつけて行動データをとるのですが、僕はその研究グループからデータをもらって気象との関係を調べています。フィールドワークに出かける機会が多くて刺激があります。新潟の離島で鳥を見たり、10日間船に乗ったりしたこともあります。こうした出張の際には、現地のおいしい食事を楽しめることもご褒美です。

チョイ 文科省の奨学金で大学院から日本に来て、地盤工学の分野で有名な今の研究室に入りました。活発に成果を出している研究室なので、私もがんばればいい成果を出せるのでは、と期待しています。日本語は自分で半年間勉強したら話せるようになりました。研究室には中国やブータンなどいろんな国から来ている人がいるので、みんなと仲良くして研究室生活を楽しくするようにしています。

齋藤 中学卒業後に高専に進んで以来、土木を専攻しています。高専5年生のときの研究が評価されて「もしかして研究って楽しいかも?」と、大学院進学を考え始めました。防災研を選んだのは今いる研究室に行きたかったから。高専では大学卒業資格まで取れるので、このときの大学院入試が自分にとってはじめての受験で、すごく大変でした。311がこの分野に関心を抱くきっかけでしたが、防災は研究の重要性がわかりやすいのでとっつきやすいです。大学院生活では、コードがうまく書けたり、想定通りの結果が得られたり、そんなちょっとしたことが面白いなと思っています。

佐藤  自宅からの通いやすさで防災研を選びましたが、今は研究が面白くて、グラフを人生史上いちばん「楽しい」にしました。大学受験は大変でしたが、その後は学部のときに苦手だった水理学が今の自分の研究に意外と役立ってくるなど、右肩上がりにどんどん面白くなっています。博士課程は北米の大学院に進学したくて出願の準備中です。多くの場合日本のように試験ではなく、人とのつながりとエッセイの内容とで合否が決まるので、国際学会でいろいろな研究者や学生と知り合うように努めています。


―― 一日の過ごし方は?

 

チョイ とても大変だった韓国での兵役時代に比べると、今は楽しく過ごせています。夜10時ころまで研究室にいることが多いですね。だからといってずっと根を詰めているわけではなく、適度に気分転換をしながら集中するべき時は集中する、といった感じで、マイペースで研究を進められるのが良いところです。他のメンバーも同じように研究をしていて、研究室にいるのが居心地いいです。

 

齋藤 防災研のすぐ近くに部屋を借りて住んでいます。研究は自宅より研究室でやる派で、10時から18時ころは研究室にいます。研究室では研究を、自宅では就活などの個人的な作業や自由時間を、というように場所によって仕事を分けています。

佐藤 実家から通学しているので、高校時代から生活環境がそれほど変わっていません。研究室の人たちの多くは午前中には研究室に来るので、お昼をいっしょに食べに行くなど楽しく過ごしています。

澤田 ロードバイクで片道1時間かけて通学しています。研究室では、お弁当を持ち寄ってみんなでお昼をいっしょに食べる文化があるので、僕も自分で作って持っていきます。京大吉田キャンパス付近に住んでいる人も多いので、宇治からの終電の都合で帰りはあまり遅くはなりません。先生も「ちゃんと家で寝るのは大事だよ」と仰っていて、守るようにしています。

 


―― 将来の目標は?

 

佐藤 機会があれば沿岸災害分野の専門家として海外で働いてみたいです。

澤田 航空会社で気象の分析をするスペシャリストになれたらいいな、と就活をしています。

チョイ 修士の2年間で得られる知識はまだ少ないので、まずは博士課程に進学するのが目標。

齋藤 高専時代からずっと土木研究をしてきたので、今度は社会実装に取り組む立場になりたい。