特集│火山と向き合うー防災研の火山防災研究

気象レーダで火山灰をとらえる

真木 雅之
MAKI Masayuki
火山防災連携研究ユニット特任教授

 

111の活火山を抱え、火山近くに都市が形成されているわが国では、大規模噴火により放出される大量の火山灰は、交通機関の麻痺や公共インフラの被害などを引き起こし、その地域の日常生活や経済活動に影響を及ぼします。このような火山灰による被害を軽減するためには大気中の火山灰のふるまいを理解し、その分布を監視・予測する技術を確立することが求められます。桜島では、さまざまなタイプの気象レーダにより降灰のモニタリングに関する研究がおこなわれてきました(図1)。これにより、降灰に関する情報(噴煙高度、降灰量、降灰面積、降灰時間など)が求められるようになってきました。過去の顕著な噴火のレーダ観測の結果は順次webサイト(https://vash.jp/)で公開されています。例えば、webサイトトップページのキーワード欄に19-0245と打ち込み、検索ボタンを押してみてください。2019年 11月8日の桜島噴火に関して、噴煙柱が発達する様子や降灰分布が時間的に変化していく様子を動画で見ることができます。私たちは気象レーダを用いた噴煙モニタリングで世界をリードする研究を目指しています。

VASH Database of Sakurajima Volcanic ASH-fall Distributions Webサイト(https://vash.jp/

 

図1 桜島の噴煙観測に用いられたさまざまなタイプの気象レーダ