「環境地盤災害の実体と対策の事例研究」

共同研究集会(特定)9S−3

日 時:平成9年11月20日〜22日
 
場 所:京都大学宇治キャンパス   

研究代表者 京都大学防災研究所 嘉門雅史 


 京都大学防災研究所共同研究集会9S−3は(社)地盤工学会と共催で、「環境地盤災害の実態と対策に事例研究」というテーマのもとに、平成9年11月20日〜22日の3日間にわたって京都大学宇治キャンパスにて開催された。特別講演1編、一般研究発表44編、パネルディスカッション等が行われ、3日間を通じて延べ約250名の参加者を得た。

(1)特別講演
 北海道大学工学部の三田地利之教授から「北海道豊浜トンネル岩盤崩落事故から何を学ぶか」と題して1時間にわたって特別講演をしていただいた。平成9年9月に刊行された地盤工学会の「北海道古平町国道229号岩盤調査委員会報告書」の内容の紹介、特に岩盤崩落のメカニズム並びに岩盤崩落の予知・予測技術の開発に繋がる計測・監視技術の現状と将来展望を示されるとともに、調査研究を通じて得られた地盤工学上の数々の教訓について述べられた。

(2)一般研究発表
 地盤環境災害に関する以下のような5つのテーマについて、8つのセッションに分けて行われた。

 1)地盤汚染とその対策
 2)廃棄物処分・廃棄物地盤
 3)廃棄物の地窪工学的有効利用
 4)発生土・汚泥の処理と有効利用
 5)地盤災害と地盤環境

(3)パネルディスカッション
 コーディネーターの嘉門雅史の司会で研究集会3日目に実施された。初めに、一般研究発表のとりまとめを各座長から行うとともに、京都大学環境保全センターの酒井仲一助教授が、「廃棄物の無害化と地鍵環境への影響評価」と題して話題提供し、その後、環境地盤災害研究のターゲットとゴールの設定へ向けての研究討論が行われた。相互のディスカッションでは、多様な討論が活発になされた。
 最後にコーディネーターが以下のようにとりまとめた。
 二次資源利用の促進を一層進展させるために、廃棄物ポテンシャルから資源ポテンシャルに換える強い意志が必要である。地盤工学が得意とするHetero Technologyを駆使してこれに取り組み、環境地盤工学をPRしていこう。さらに、廃棄物の有効利用時の管理体制造りを行って、環境フローの中でストック機能が大きい地盤の安全性、安定性を評価するように努めた。環境地盤災害に防止と対策については、多岐にわたる積極的な研究の推進が求められており、今後も継続的に研究集会を開催することを提案した。