「東アジアにおける自然災害の予測と軽減に関する国際シンポジウム」


船戸学術交流官によるスピーチの模様     
 平成9年12月1日から5日まで、京都市の「新・都ホテル」において「東アジアにおける自然災害の予測と軽減に関する国際シンポジウム:International Symposium for Natural Disaster Prevention and Mitigationin East Asia」が開催された。
 このシンポジウムは、防災研究所が IDNDR(International Decade for Natural DIsaster Reduction: 国際防災の10年)の一環として、特別事業により平成6年度から5か年計画で実施してきている国際共同研究「中国及びインドネシアにおける自然災害の予測とその防御に関する研究」の第4年次として、これまでの研究成果を中間総括し、最終成果の取りまとめの方針を検討するとともに、今後この成果を踏まえて東アジア・南アジア地域の自然災害を軽減防御することにどのようにして貢献していくかを討議することを目的としていた。出席者は全体で 147名、うち国外からは11ケ国から38名の参加を得て、多くの研究成果の発表と討議、さらに IDNDR以後の方針について具体的な議論がなされ、大変有意義なシンポジウムであった。

 初日の開会式では、文部省学術国際局船戸輝久学術交流官、北西総合勘察設計院顧問林在貫博士、インドネシア科学院 S.Suparka博士、米国 NSF(米国科学財団)S.C.Liu博士およびユネスコ地球科学部長 W.Eder博士からの祝辞、挨拶が述べられた後、基調報告と各研究課題毎に総合報告が行なわれ、さらに、本事業のあとに計画されている「都市における地震災害軽減のための日米共同研究」の紹介がなされた。第2日と第3日には「地震災害」、「火山学とテクトニクス」、「地すべり災害予測と文化遺産」、「洪水および堆積災害」の各セッションにおいて研究成果ならびに今後の研究の進め方、計画などについて発表と討論がなされた。このほか、中国、インドネシア両国の共同研究だけではなく、防災研究所が今日まで行なってきているフィリピン、バングラディシュほかの国々との共同研究の成果、米国における地震災害に関する紹介も行なわれた。地すべり災害防止については、ユネスコの地球科学部門を中心に世界文化遺産の災害からの保護の一環として進める方針がほど固まりつつあることが報告された。第3日目の最後には「総合討論」が行なわれ、今後の国際共同研究のありかたについて意見交換と討論がなされた。
 本特別事業のための足がかりを築いた平成3年度から5年度までの3ケ年にわたる特別事業「東アジア(中国・インドネシア)における自然災害の予測とその防御に関する国際共同研究」と合わせ、出席者からは、地震災害だけでなくこれまでの研究成果を一層発展させて自然災害を対象として研究を進めようとの要望と熱意が述べられ、 わが国はもとよりそれぞれの国において、このための方策を探っていくことになった。

初日の夜に開催されたBANQUETの様子

 第4日にはそれぞれのテーマに分散して、さらに会議がひらかれ、また滋賀県下水道公社、琵琶湖博物館、建設省近畿地方建設局琵琶湖工事事務所への見学旅行も行なわれた。最終日には附属火山活動研究センターにおいて、研究討論会と桜島火山実地見学会が行なわれた。
 最後に、この国際シンポジウムは文部省平成9年度国際シンポジウム開催経費の援助を受けて行なったものであることを付記する。