「平成7年兵庫県南部地震の被害調査研究」の実施について

脆性構造耐震研究部門 藤原 悌三 

 平成7年1月17日午前5時46分、兵庫県南部をおそった直下型地震は淡路島北部から神戸市、芦屋市、西宮市、宝塚市、など阪神地域に壊滅的な打撃を与えた。自然災害科学総合研究班代表の高橋 保教授から突発災害の調査計画策定の要請があり、関連分野の研究者と協議した結果、「平成7年兵庫県南部地震とその被箒に関する調査研究」と題する研究課題について、平成6年度科学研究費助成金による56名の研究者からなる調査班を組織し、3月までの2ヵ月余りの期間に一応の成果を見た。

 引き続き平成7年度には、「平成7年兵庫県南部地震の被害調査に基づいた実証的分析による被害の検証」という課題で84名の研究組織による総合研究Aの新規研究がスタートした。

 平成6年度科学研究費による研究の目的は、歴史的な地震被害の実態を克明に調査し、事実を後生に伝えることにあり、この研究成果は「平成7年兵庫県南部地震とその被箒に関する調査研究」研究成果報告書(課題番防 06306022)としてまとめられ、関係機関に配布された。

 平成7年度は、神戸市を中心とする激震域の地盤構造探査と広域かっ精密な常時微動計測を行うことに主眼を置き、地盤の動特性と帯状に分布する震度7の激甚地域分布の相関を明らかにするとともに、構造物への地震動入力の推定、各地域の地震危険度解析と危険度マップの作成、交通施設、ライフライン施設の被害分析、港湾施設などの液状化、急傾斜地の地すべり災害の分析と防止策、木造住宅の被害原因の計画・構造両面からの分析、鉄筋コンクリート造、鉄骨造など各種構造と地震応答の両面から被箒の原因の解明などに関する研究を行う。さらに、地震火災と給水施設・交通施設の関係、被災住民にたいする対応、被害情報の伝達システム、被害実態の地図情報化による運用など、この巨大複合災害の実態を分析することにより、地震に強い町づくりのための方法論について研究する。

このことについての報告会では平成6年度の研究成果とともに、引き続き行われている研究、および今年度の研究方針等を含めた内容についての発表・討論を予定している(次ページに関係記事)。