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8.5 公開講座・講演会・研修会・セミナー

防災研究所公開講座

防災研究所では1990年度より毎年夏に研究所主催の公開講座を開催している。これは、研究成果の社会還元の一環として行われているものであり、2000年〜2001年度の開催プログラムを表851に示す。2000年度のテーマは「21世紀の近畿地方の防災−環境としての防災−」、2001年度は「21世紀の近畿地方の防災−都市と防災−」をテーマに行われた。本公開講座は参加者の便を考慮して大阪市内に会場を設定している。参加者の職種は、主に地方公共団体の行政官および関連法人職員、ゼネコン・コンサルタント職員である。これは、行政、産業界のいずれにおいても研究面からの支援を必要とされていることのあらわれである。また、一般市民・学生の参加もあり、防災研究における最先端を披露するユニークな機会となっている。参加者数は1994年以降、180名、423名、325名、190名、210名、250名で、2000年度は186名、2001年度は128名であった。本講座は公開講座とはいえ、参加者は自然災害および防災に興味・関心のある人々がほとんどであるため、大災害が起きない限り参加者の増加は見込めない。また最近は他の研究機関においても、公開講座・シンポジウムを開催しており、企画が林立する傾向にある。この種の企画を行う際の多大な労力、費用、参加者数の見積もり、企画自体の独自性・有用性などもあわせ考えると、そろそろ新機軸を打ち出すべき時にきているのではないかと思われる。例えば、他の研究機関ですでに行われていることではあるが、将来を担う小中学生、高校生に防災に関する実験をやって見せ、研究の一端を紹介する押しかけ「出前講義」を行うことなどは一見地味ではあるが、長期的視野に立てば有意義であろう。

表8.5.1 防災研究所公開講座

講演会・研修会

防災研究所の職員は、防災研究所が主催する公開講座に加えて、学会や自治体、企業などが主催する一般向けの講習会やセミナーに積極的に参画している。表852に示すように、平成12年度〜14年度にかけて、防災研究所職員(12人)が行った一般向けの講習会は70件である。講演題目は地震防災関連が約3分の2を占め感心の高さが伺える。また表853は同職員(19人)が行った、実務者向けの研修会42件をまとめたものである。研修会の題目は地震、地すべり、砂防、一般防災など多岐にわたり、研究所の職員構成の多様性が現れている。日本各地で行われる講演会・研修会に積極的に参加することは、研究所の活動度を示す重要な指標となるので、今後とも積極的に推進すべきである。

表8.5.2 講演会
表8.5.3 研修会・セミナー

各部門・研究センターが開催したシンポジウム・セミナー

854は防災研究所の各部門・研究センターが開催した国際会議・シンポジウムを、また表855は各部門・研究センターが定期的に主催するセミナーをまとめたものである。防災研究所各部門・研究センターの特色を活かしたシンポジウムやセミナーを積極的に行っている。地震災害研究部門では、「日本におけるイタリア年」事業の一環として、日本とイタリアの研究者共同の地球科学・防災セミナーを主催した。また、巨大災害研究センターでは「比較防災学」と題して、様々な角度から生活と防災の関係について比較・検討し、防災について新たな視点で考える場を一般市民に提供した。

防災研究所が全国共同利用研究所として、また国際社会において、災害・防災研究の中核研究機関としての役割を果たすためにも、この種のシンポジウム・セミナーを今後とも積極的に企画してゆくことが望ましい。そのためには、企画・広報のプロを採用または外部に委託し、現在研究員が行っている企画・広報・会場手配などの負担を軽減する必要がある。

表8.5.4 各部門・研究センターが開催した国際会議シンポジウム
表8.5.5 各部門・研究センターが定期的に主催するセミナー

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