1-2-2 構造振動制御における先端技術の開発

(チーム幹事:鈴木 祥之[京都大学防災研究所])


 
 近年、免震構造物が実用化されるようになってきた。免震工法は、耐震構造のように、構造系の動特性と入力の特性との関係を無視して丈夫に作るという方法に対して、構造系への地震動の入力エネルギーを減少させることによって構造物の安全性を高める手法であり、工学的に進んだ工法である。免震装置については各種の技術開発が進み、建築構造物のみならず橋梁などの土木構造物にも適用されるようになってきている。一方、能動的な制振装置である可動質量形式の制震構造物は世界に先駆けて我国で建設され、超高層建物の強風下における居住性が大幅に改善されることが実証されている。しかし、強震時における有効性については、検証するための実験と観測が行われているが、一般的な制震手法として採用されるまでには至っていない。一方、準能動的あるいは受動的な震動エネルギーの吸収装置に関しては、近年米国において研究の大きな進展が見られ、これらの装置の制震への応用に関して日米で共同・協力して開発に取り組む必要があるものと考えられる。平成10年度実施予定として日本側で採択された課題および日米の研究分担者は次の通りである。  

タ イ ト ル 日 本 側 研 究 分 担 者 米 国 側 研 究 代 表 者
弾塑性挙動の局所化による構造物の地震時安全性の向上 西谷 章
(早稲田大学)
L. A. Bergman
(Univ. of Illinois)
粘弾性体ダンパーによる建物の制震性評価 曽田 五月也
(早稲田大学)
R. K. Goel
(Calif. Poly. State Univ.)
ファジイおよびGA理論の建築物の制震手法への応用 河村 廣
(神戸大学)
J. T. P. Yao
(Texas A&M Univ.)
構造物の制震における知的材料とインテリジェントシステムの開発 北川 良和
(広島大学)
J. Beck
(Calif. Inst. of Tech.)
構造物の制震における非線形同定手法の応用 古川 忠稔
(大阪大学)
M. N. Noori
(Worcester Poly. Inst.)
粘弾性および弾塑性ダンパーの建物制震への適用性 笠井 和彦
(東京工業大学)
C. Higgins
(Clarkson Univ.)
直下地震に対するハイブリッド免震および制震手法 家村 浩和
(京都大学)
J. N. Yang
(Univ. of Calif., Irvine)
制震装置と知的材料による地震時信頼性の向上 鈴木 祥之
(京都大学防災研究所)
Z. Hou
(Worcester Poly. Inst.)