1-2-3 構造物の損傷度検出システムの開発

(チーム幹事:佐藤 忠信[京都大学防災研究所])


 
 最近の日米の都市直下地震では広範囲の構造物が大きな被害を受けたが、地震直後に個々の構造物被害の程度を詳細に把握することは非常に困難であった。崩壊に至るような激しい被害の場合には目視で十分に被害の程度を判定できたが、地震後十数ヶ月経過した時点でも、全ての鉄骨構造物の健全度は明らかにされていなかった。構造物や橋梁の地震による損傷度を詳細に調査するためには、外装を取り除いた上で非破壊検査の手段を用いなければならないので、莫大な費用と時間が必要なことがその原因である。病院、消防署、主要道路の橋梁、発電所、配水施設など都市における重要構造物は、地震直後にその健全度を評価できるようにしておくことは、地震災害の拡大を防止する上で必須の要件である。強震時においては構造物の応答が非線形領域に入るので、構造物の地震時における損傷位置を検出するためには、構造システムの非線形動特性を実時間で同定できるソフトとハードの技術が必要とされている。平成10年度実施予定として、日本側で採択された課題および日米の研究分担者は、次の通りである。  

タ イ ト ル 日 本 側 研 究 分 担 者 米 国 側 研 究 代 表 者
最大ひずみ記憶センサーの健全度評価への応用 武田 展雄
(東京大学国際・産学共同研究センター)
H. Krawinkler
(Stanford Univ.)
オンライン健全度評価による耐震性の総合的向上 山本 鎮男
(京都工業繊維大学)
M. Noori
(Worcester Poly. Inst.)
損傷度評価に関する先端的技術の応用 佐藤 忠信
(京都大学防災研究所)
S. Masri
(Univ. of Southern Calif.)
非破壊検査における受動的および能動的モニタリングシステム 大津 政康
(熊本大学)
S. D. Glaster
(Univ. of Calif., Berkeley)
損傷度評価のための知識情報に基づく解析システムの開発 古田 均
(関西大学)
J. A. Kuprenas
(Univ. of Southern Calif.)
逆解析におけるセンサーの最適配置 星谷 勝
(武蔵工業大学)
J. Beck
(Calif. Inst. of Tech.)