平成8年12月長野県小谷村土石流災害

ホームページの開設について


ホームページに掲載された小谷村土石流の発生域の空中写真


平成8年12月6日に長野県・新潟県境界の蒲原沢で土石流が発生し、下流の姫川合流点付近で砂防、治山関連の土石流防止工事の作業員14名が死亡・行方不明となった。この災害は発生直後から国民的関心を呼び、全国から多くの関連研究者が現地調査や関連資料の検討を始めた。全国共同利用研究所である京都大学防災研究所ではまず、関連研究者間で意見を交換するためのメイリングリストを作成し、その後研究資料を交換し、研究の途中経過を報告する目的で災害発生5日後に研究資料を掲載するホームページを開設した。「小谷村土石流災害ホームページ」と名付けたこのホームページは、地盤災害研究部門地すべりダイナミクス分野が現地で採取した土を用いて行ったリングせん断試験機による崩壊誘起土石流発生の再現試験の結果の他、主に以下のような内容からなる。

  1)各種報道資料
  2)土石流の震動波形が記録されていた現場付近の科技庁・防災科学技術研究所の地震計記録
  3)突発災害研究班および新潟大学のヘリ調査時の写真
  4)航測会社による空中写真(3ケ月前と災害翌日の写其の比較)
  5)新潟大学による小谷村上石流災告速報(二報)。

 また、各地の研究者による研究が進艮するにつれ、以下の内容が加えられた。

  6)静岡大学が作成した崩壊源付近の鳥瞰図
  7)新潟大学(8年l2月)、防災研究所(9年1月)で行われた小谷村土石流災告シンポジウムの告知、
    および発表・討論の概要
  8)東大、信州大学等その後開設された小谷村災害の研究経過ホームページへのリンク

 このホームページは研究交流を目的として開設したので一般向けの告知はせず、砂防学会、地すべり学会のメイリングリストのみ告知したが、ホームページ開設以来の訪間者数はのべ約840人、延べ約7l00ファイルが転送され、充分にその役割を果たしている。また、電子メイルやファックスと違い、ホームページはカラーの図表を掲載できる特徴から、研究結果や途中経過の図表が素早く、容易に研究者間で閲覧でき、遠隔にいる研究音間の議論を加速することにつながった。
                             地盤災害研究部門 福岡 浩