平成17年度防災研究所研究発表講演会報告



 平成17年度の防災研究所の年次研究発表講演会が2006年2月21日〜22日に京都テルサで開催された。講演会初日は4つの特別講演 から始まった。最初の講演は中島正愛教授による「耐震工学に果たす大型構造実験の役割」で、その可能性と限界がわかりや すく解説された。続いて、大竹政和東北大学名誉教授から「地震予知研究の今昔」として、研究の発展と今後の展開に関する洞察深い講演 をいただいた。

 次に、ワシントン大学のスティーブ・バージェス教授から「自然災害に関連する水文モデルの重要性」に関する講演があり、 見逃されがちなモデルの限界についても言及された(写真1)。最後に林春男教授よりアメリカでの「ハリケーン・カトリーナによる広域災害に 対する社会的対応」という時宜を得た講演をいただいた。特別講演は200名を超える多くの参加者でにぎわい、大変好評であった。特別講演 に引き続いて、最近の2つの災害調査報告が行われた。「2005年台風14号による九州の土砂災害」が千木良雅弘教授から、「2005年福岡県 西方沖地震について」飯尾能久助教授・田村修次助教授からそれぞれ報告された。その後、様々な自然災害に関する50を超える口頭発表 が並行セッションで行われた。

 2日目は、様々な自然災害や防災に関する口頭発表が並行セッションで行われた。合計113の口頭発表とともに、48のポスター発表も 行われ(写真2)、2時間30分がポスター見学のための時間として割り当てられた。口頭発表、ポスター発表ともに総じてレベルが高く、質問や 議論も活発であった。2日目の夜には懇親会が開催され、参加者は楽しいときを過ごした。

 今年度は、日本語の発表要旨への短い英文の追加や、2名の外部の研究者による特別講演の実施といった試みに加えて、限定的に修士 課程の大学院学生に口頭発表の機会を与えることも認めた。これらの変更は概ね好評であり、防災研究所の外国人留学生や教職員の研究 成果が公表され、評価されるよい機会となった。研究発表講演会について今後ともこのような努力を続けていきたいと考えている。

 最後に、今年度の行事推進委員会のメンバーの名前をご紹介しておきたい。戸田・中北・釜井・田村・城戸・畑山・飯尾・吹田・浜口・堤・米山 ・松浦・西村・角井・吉山と年次研究発表講演会担当のSidleである。技術室の松浦氏は講演会の技術的な面(日本語・英語の要旨の申し込み 方法の確立など)で改善を図られた。また、Sidle研究室の斉藤・細田両氏には準備全般にわたってご尽力されたことを付け加えておく。

(地盤災害研究部門 Roy C. Sidle)
写真1 講演会写真2 ポスター会場