地震時地すべり再現試験機の導入

地震時地すべり再現試験機(小型)

 平成7年度補正予算で地震時地すべりの発生・運動機構の解明を目的とした地震時地すべり再現試験機(MIS-233-1-75-07型)の購入が認められて、3月に本研究所(D144室)への設置が終了した。
地震時地すべり再現試験機とはドーナツ状の上試料に垂直応力とせん断応力を加え、地震時や長距離地すべり運動時における土や岩のせん断特性、挙動を調べる試験機であり、荷重制御の非排水載荷高速リングせん断試験機である。
 今回導入した試験機は大型と小型の2台からなり、大型試験機はサンプル箱の外径35cm、内径25cm、試験機高さ5.1m、垂直応力は油圧で与え、最大垂直応力約40kgf/cm2、せん断は37KWのサーボコントロールモーター2台で行い、最大せん断速度は2m/sec、また応力制御の繰り返し載荷は5Hzまで可能である。非排水試験と高速せん断中の間隙水圧の連続測定が可能である。この試験機は100mを越える大規模高速地すペッの発生・運動機構をテーマとした試験を行うものである。
 小型試験機(写真)はサンプル箱の外径18cm、内径12cm、最大垂直応力は30kgf/c孟である。特にせん断力載荷にはサーボコントロールモーターと油圧ジャッキによる載荷の両方が可能である。油圧ジャッキを用いると長期間高精度でせん断応力を一定に保つことが可能であり、地すべりのクリープ破壊の再現試験や高精度での地震波形の入力による地すべり発生機構に重点を置いた研究を予定している。また、この試験機では不撹乱試料を用いた試験を試みる予定である。
 大型、小型試験機ともに、コンソール台(写真の手前)から制御・計測をコンピュータで行い、リアルタイムで応力経路を観察することができる。またシステムが大規模で構成要素が多岐にわたるため、固定ボルトの取り付けの有無、油温や各試験パラメータの異常に至るまでの自動監視システムを構築した。コンピュータによる制御、計測、監視データ、および試験機画像は逐次学内LAN(KUINS)を通じて研究室に送ることが可能で、長時間に及ぶ圧密やクリープ試験時に実験室は無 人でも研究室からモニター及び制御が可能になった。