科学技術振興調整費による国際会議

「人工衛星による災害の監視・予測・軽減に関する国際シンポジウム(MPMD-2004)」
開催される

 科学技術振興調整費・我が国の国際的リーダーシップの確保「水災害の監視・予測・軽減への貢献」(中核機関:京都大学防災研究所)による国際会議として,平成16年1月19日〜21日に人工衛星リモートセンシングによる災害の監視・予測・軽減に関する国際シンポジウム(International Symposium on Monitoring, Prediction and Mitigation by Satellite Remote Sensing,略称: MPMD-2004) が兵庫県淡路島,淡路夢舞台国際会議場で開催された.
 本国際会議では、リモートセンシングの災害への適用に関する最新技術、問題点等の情報を交換、共有し、将来の教育と研究の国際交流や技術協力の基礎を確立することを目的として開催され、2つの基調講演を含む26の論文発表、報告があり、活発な議論と情報交換が行われた。これらの論文は、合計199ページの論文集に収録されている。また、本会議は宇宙航空開発研究機構(JAXA)主催の第2回ALOS研究代表者ワークショップ(2nd ALOS PI Workshop)と相互乗り入れ方式がとられた。すなわち、参加者は、世界で初めて災害監視を主目的の一つとする2004年度打ち上げ予定の日本の陸域観測技術衛星ALOS(「エイロス」と呼ぶ)に関する最新技術の情報収集も併せて可能となり好評であった。参加者は合計56人(15カ国)、うち外国人21人であった。ALOS ワークショップ側から本会議に参加した人も十人以上あり、災害関連以外の衛星リモートセンシングの研究者・技術者との交流や情報交換も開催期間を通して活発に行われた。
初日の19日は、ALOS ワークショップでは午前に全体セッションがあり、本会議は、午後3時10分からの開催となった。「災害監視へのリモートセンシングの適用における現在の状況と問題点」と題した宝 馨教授(研究代表者)の基調講演が行われた。その後、休憩をはさんで、気象学と水文学をテーマとしたセッションが行われた。
20日は、午前から午後2時30分までALOS ワークショップにおいて幾つかのテーマと並行して災害管理(Disaster Management)セッションが行われており、本会議参加者もこの災害管理などのセッションに多数参加し、衛星やセンサの開発側により近い位置におられる研究者の発表から最新の技術情報の入手ができた。MPMD-2004は初日と同様に午後3時20分から開催され、最初にロシア科学院(Russian Academy of Sciences)のAndrey Tronin教授によって、統合地球観測戦略Integrated Global Observing Strategy (IGOS) の地質災害におけるイニシアチブに関する基調講演が行われた。次に、水災害と災害の検出をテーマとしたセッションが行われ、海域、沿岸域における災害監視や災害時における被災地域の検出、情報抽出に関する研究発表が行われた。
 21日は、午前9時から午後6時まで終日開催され、洪水災害、災害監視と情報、地質災害とGPS、SAR(合成開講レーダー)の応用の4つのセッションが行われた。いずれも大変興味深い内容であった。最後に、本会議の成果を総括するとともに、災害に関する衛星リモートセンシング利用の展望や今後の技術交流、情報交換について議論し、幕を閉じた。 本会議開催にあたり、JAXA関係者をはじめとして多くの方々にご支援ご協力いただきました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

水災害研究部門 児島利治