研究一般集会15K-7

防災GISの現状と展望に関する分野横断的研究フォーラム2003

会議風景(寶教授によるオープニング)
 空間的な広がりを持つ災害事象の解析,予測,データベース化において有効なツールである地理情報システム(GIS)をテーマとした防災研究所研究集会「防災GISの現状と展望に関する分野横断的研究フォーラム2003」(研究代表者:寶 馨)が,地理情報システム学会SIG防災分科会,SIG時空間GIS分科会との共催のもと,平成15年12月3日に,キャンパスプラザ京都において開催された.研究会の目的は,第1回目の研究フォーラムが開催された平成11年からの4年間で,名古屋市の水害,宮城県沖地震,釧路地震など多数の災害が発生し,GISの技術も発展し,多様化したことをうけて,「防災GIS」という概念のもとに諸分野で利用されている理論や手法の現状と問題点を再度,明らかにし,将来の方向性を議論することであった.特に,今回は,「災害直後の事後対応」,「防災の観点から見たGISデータ仕様の標準化」という2つのトピックに絞り,以下の話題提供とそれぞれに関する議論が行われた. [第1セッション] 災害直後の事後対応について
 現状の自治体で実現されている事後対応支援ツールと,今後のシステムに期待される項目とそれを実現するための情報技術に関して以下の話題提供が行われ,意見交換が行われた.
l 畑山満則(京大防災研):自治体窓口業務支援システムの災害直後からの利用に関する考察
l 吉川耕司(大産大):自治体における平常時の情報整備に関して
l 大場亨(市川市):自治体における危機管理とGIS,市川市におけるセキュリティー関連のGISの取り組み
l 竹内郁雄(電通大):ITを用いた災害対応戦略

[第2セッション] 防災の観点から見たGISデータ仕様の標準化について
 災害時におけるGISの分野横断的な利用を実現するためのキーワードとなるGIS基盤データ標準化に関して以下の話題提供が行われ,意見交換が行われた.
l 小荒井衛(国土地理院):標準化の現状
l 角本繁(防災科学技術研究所):道路情報の標準化と防災
l 中尾忠彦(河川情報センター):河川GISについて
l 新村光男(日本損害保険協会):洪水ハザードマップ作成の現状と課題

 道路,河川,都市計画分野に加え,情報処理分野から,産官学をあわせ総勢97名の参加があり,活発な討論から,災害時における分野横断的な地理情報の利用に関しての方向性が示された.今後,本研究会の議論を受けた研究報告書を作成する予定である.興味のある方は,畑山(email:hatayama@imdr.dpri.kyoto-u.ac.jp)までご連絡ください.