上宝観測所の創立30周年にあたって


 昭和40(1965)年に防災研究所附属上宝地殻変動観測所が岐阜県吉城郡上宝村に設置されて、今年で30年を迎えた。当初は同村蔵柱の地下観測室での地殻変動観測を中心にしていたが、観測点の増設や名古屋大学及び東京大学の観測所とのデータ交換を含め、今日では岐阜県飛騨地方から富山県、石川県能登半島にかけて、地震観測点10点(他に臨時観測点5点)、地殻変動観測点5点及び電磁気観測点3点を展開し、観測と研究を行っている。
 他方、上宝村は活発な火山活動を続けている焼岳の麓に位置していることなどから村の防災意識は高く、学校や客種団体から講演や施設見学を依頼されることも多い。観測所で得られた結果を紹介して、一層の防災知識の普及をはかるとともに、地域との協力関係を緊密なものにしようとつとめて
いる。  さる10月6日の午後には、30周年を記念して観測所を一般公開し、祝賀会を催した。一般公開には30名を越える方々が来所された。また、前所長の三雲 健名誉教授は、任地のメキシコからはるばる帰国、出席された。祝賀会は、新平湯温泉のホテルにおいて、小池 強上宝村長にもご臨席いただき、にぎやかに催すことができた。席上、日頃 観測に格別のご理解とご協力をいただいている各位に感謝状をお贈りした。
 30周年を契機として、地域との協力関係を一層密にすることを心がけることとしているが、そのーっとして、関係各位のご協力をいただいて、上宝村の役場に地震活動のモニター装置を設置する計画を進めつつある。