1995年兵庫県南部地震合同観測

 全国の10大学による合同地震観測は、本震直後の「緊急地殻活動調査」についで2回日である。緊急調査は基礎資料としての精度のよい余震分布を得ることを主目的としたのに対し、今回の合同観測は"大地震発生場における地殻構造、特に不均質構造を把握する"ことが第1の目的である。
 観測は3項日ある。第1は高精度震源決定のための広域地震観測網であり、2府3県にまたがる臨時観測18点に既設の9点を加えた計27観測点のデータが専用回線で地震予知研究センター新館に設置された中央処理装置に集められる。この装置では自動読取りと、準リアルタイム震源決定が行われ、その情報はインターネットで研究機関に提供される。
 第2、第3はいずれも棚密群列観測(アレー観測)で、猪名川町と淡路島北部にそれぞれ80点と100点が展開されている。前者は地震波の反射を効率よく検出し、群発地震の原因と推定されている熱水 層分布を、後者は断層に捉えられた地震波(トラップド波)を用いて野島断層の深部構造を調べる。
 アレー観測点は独自に地震波を収録するのではなく、宇治からの指令電波によって一斉に動作する仕組みになっている。この方法は最近開発されたもので我々はテレコンシステムと呼んでいる。
 合同観測は全国10大学約80名が参加しており、12月12、14、15日に行われる人工地震による地下構造の探査まで続けられる。