IDNDR SPECIAL PROJECT

華清池地すべり調査


 佐々教授を中心とする日中共同研究「華清池地すべり災害予測」(C-2:Assessment of Landslide Hazards in Lishan(Yang-Que-Fe Palace))の現地調査に10月3日〜10月12日の期間、昨年に引続き参加した。本年度の調査目的は、佐々教授他6名による、地すべり斜面の地上7〜IOmへの伸縮計2測線の設置、岩盤内に掘削された横坑内の二次元せん断変位計及び地震計の設置、地すペッブロック及び対策工の検討、表層崩壊機構の解析、並びに日中合同地すべり研究会の実施であり、このうち、筆者の担当は昨年の予備調査を基に地震観測を実施することであった。しかし地震計はJICAの携行機材として購入され、JICAにより現地に発送されている筈であったが、西安空港出迎えの臨憧地すべり観測所の楊所長の「JICAからは機材はおろか書類も届いていない」との言葉が本年度の調査の結果となってしまった。翌日からは滞在中の到着を期待しつつ、昨年依頼しておいた地震計台の岩盤とモルタルの接着不良による工事やり直し(写真)、記録計用台の設置、電源工事の依頼等の作業を行った。
 西安滞在最終日の10月9日に西安地質学院にて日本側4名、中国側5名の発表者による合同研究会が開かれた。中国側の講演は、自著の教科書の内容解説や他の地すべり地の紹介等もあり、必ずしも議論がかみ合わない面もあった。また、華清池地すべりに関しては、黄土堆積屑に限定した浅い地すべりと解釈する意見もあり、先カツブリア紀の片麻岩内部のすべり面の発達を明らかにしようとする日本側と問題意識を異にしているようである。
 結局、地震観測機材は我々が日本帰着後の13日に到着し、14日まで現地にいた福岡氏によって物品チェックされただけで次の機会まで現地観測所に保存されることになり、2年連続の予備調査に終った次第である。
(防災研究所 古澤 保)