高橋保先生退官記念シンポジウムの開催報告および
高橋保先生への中国水利水電科学研究院からの名誉教授号の授与

 高橋保先生の退官記念事業の一つとして、平成15年4月26日、記念祝賀会の前に退官記念シンポジウム「土砂災害の防止・軽減に向けて」がリーガロイヤルホテル京都で開催された。京都大学内外から研究者、技術者が広く集まり、150名近い参加者のもと実施された。
高橋保先生は、土砂災害の防止・軽減に関する理論的、実験的、実証的な研究は無論のこと、海外での災害調査にも重点をおいて研究を進めてこられ、最近では、中国での土石流観測研究や台湾での地震による土砂災害の調査研究を推進されてきた。そこで、このシンポジウムでは、中国および台湾における土砂災害研究の第一人者であり、また土砂災害防止軽減のための行政組織のリーダーとして活躍されている中国水利水電科学研究院副院長の匡尚富先生と台湾国立成功大学防災研究中心教授の謝正倫先生をお招きして行われた。
井上和也教授の開会挨拶のあと、謝正倫先生からは「台湾における流域土砂災害管理」、匡尚富先生からは「中国の土砂災害及び対策」というテーマの講演があり、台湾および中国における土砂災害の実態、土砂災害防止軽減に対する取り組みが紹介された。その後、高橋保先生が「災害現場から学ぶ」というテーマで講演された。これまで携わってこられた国内外での調査研究を通して、先生が土砂災害現象解明のヒントをいかに見つけ、どのように究明され、土砂災害防止軽減対策に応用されたのかについての非常に興味深いご講演であった。これらの講演を通して、土砂災害の防止軽減のための今後の課題や方向性について認識を深めることができたと思われる。
 また、この後行われた退官記念祝賀会において,中国水利水電科学研究院副院長の匡尚富先生から高橋保先生に中国水利水電科学研究院泥砂研究所名誉教授号の授与が行われた。高橋先生は中国での土石流研究の発展に強く貢献されており、これが認められ、水利水電科学研究院泥砂研究所第1号の名誉教授の称号を受けられた。

退官記念シンポジウムで講演されている謝正倫先生匡尚富先生から高橋保先生への名誉教授号の授与

水災害研究部門 藤田正治