IUGG2003報告

IUGG2003における防災研究所の展示ブース
 IUGG2003, 第23回国際測地学・地球物理学連合総会が,日本学術会議および(社)日本地震学会や(社)土木学会など国内の15学会の主催により,2003年6月30日〜7月11日の期間,札幌市で開催された.参加者は,第2週には5000人(国外 約2500人)を越え,発足以来最大規模の総会となった.以下,IUGG2003のパンフレットを参考にその概要を報告する.
 IUGGは1919年に設立された地球・惑星科学研究及びその国際的な発展の促進を目的とする国際学術団体である。その研究領域は、地球の形、地球重磁力場の性質、地球のダイナミクス、地球内部構造・組成・テクトニクス、マグマ形成、火山・岩石学、雪氷を含む水文学、海洋物理・化学、大気圏・電離圏・磁気圏と太陽-地球相互作用、そして比較惑星学と、極めて多岐にわたっている。現在76ヵ国が加盟、傘下に7つの学会(測地学、地震学・地球内部物理学、火山学・地球内部化学、地球電磁気学・超高層物理学、気象学大気化学、水文科学、海洋物理科学)を擁している。
IUGG総会は1922年に第1回がローマで開催されて以来、4年に1回、世界各地で開催されており、今回、アジアではじめて開催された。本総会では、各学会固有のセッションに加えて約60ものジョイントが行われた。特に学際的な統一テーマに沿うものとして、予測・予知とその可能性,火山性島弧の揮発性物質:沈み込みスラブから成層圏まで,地球システムと環境変動,地球物理学的災害と人口過密都市の持続力(Sustainability),地球内部の構造とダイナミクス,地球を測る新しいセンサー:何が可能か,IUGGの歴史,地球科学:その未来の8つのセッションが企画された.
 IUGG総会の開催中、会場内ではセッションと平行して各種団体による展示が実施され,防災研究所も間口3mのブースを出展し,パネルによる展示と2台のプラズマディスプレイを用いた疑似3次元画像表示を行った.パネル展示では,防災研究所全体の紹介,および国際協力・大学院教育・COEプログラムに関するものを正面に,関係する分野ごとの展示を両側面に配置した.分野としては,地震・火山災害研究/水・海岸災害研究/大気災害研究/斜面災害研究/災害リスクマネジメント・被害抑止研究の5分野とした.技術的には,普通のパネルではなく掛け軸のような形をとり,背景として京都の風景を足下に挿入した.2台のプラズマディスプレイによる表示は,大志万教授のアイデアを発端とするものだが,2台のディスプレイを水平・鉛直位置に配置し,それぞれに平面図・断面図を同期して表示することにより,3次元的な空間把握を容易にしようと試みたものである.アイデアを実際の形にまとめ上げたのは,防災研究所技術室の精力的な取り組みによるものであり,その技術力は会場でも高い評価を得ていた.海洋科学技術センターや防災科学技術研究所は,模型や立体映像を駆使した大規模な展示を行い多くの訪問者を集めていたが,防災研究所のブースは内容だけでなく,特徴ある外観によってアピールしていたと思われる.英文パンプレットは250部を用意したが,売れ行きがよく急遽追加を行った.7月2日には天皇・皇后両陛下もブースに立ち寄られた.
 なお,展示に関する作業は,IUGG防災研究所ブースWG(主査Sidle教授、井口正人助教授、岩田知孝助手,大志万直人教授,城戸由能助教授、立川康人助教授、向川均助教授,Mori教授,幹事飯尾能久助教授)および防災研究所技術室がとりまとめを行いましたが,写真・図面・ファイル等の提供や,会場における設置・撤収および訪問者への説明など,多くの方々に大変お世話になりました.紙面の都合上お名前を挙げることができませんが,上記の方々に深く感謝申し上げます. 

(地震予知研究センター 飯尾能久)