防災研究所新スタッフの紹介・人事異動


新スタッフの紹介

地盤災害研究部門 教授 井合 進(いあい すすむ)

平成14年5月1日付けで、独立行政法人港湾空港技術研究所(旧運輸省港湾技術研究 所)から異動し、地盤災害研究部門の教授に着任いたしました。これまで、わが国や 世界で発生する大地震時の港湾被害調査を通じて、臨海部に建設される構造物の場合 には、地震時の地盤の変形に関する力学特性が支配的な影響を与えることを実感し、 地震時の砂の変形を表現するための力学的モデル化やそれを基に非線形数値解析法の 開発を行ってきました。今後は、臨海地域に展開する大都市域の多様な土木構造物へ の研究展開が課題となっています。グローバリゼーションの時代、京都大学防災研究 所は、国際的なネットワークを通じて防災に関する研究を展開していく上で基盤とな る強力な根拠地といえましょう。地盤防災解析の分野では、わが国が国際リーダー シップを発揮する形で、「地盤基礎構造物への地震作用」に関する国際標準 (ISO23469)の新規作成にも着手したところです。体力とスピードがフルに要求され る時代ですが、古の文化の香りが漂う当地、上滑りすることなく、じっくり腰を落着 ける心のゆとりは常に確保しておきたいと考えています。
水災害研究部門 助教授 藤田 正治(ふじた まさはる)

平成14年7月1日付けで,京都大学大学院農学研究科森林科学専攻から異動し,水災害研究部門土砂流出災害分野の助教授に着任いたしました.農学研究科では,山地保全学研究室で砂防構造物による土砂流出の制御,山地河川の流砂現象,山地流域の土砂動態などの研究を行ってきました.土砂動態の研究では,穂高砂防研究所の澤田助教授とともに,試験流域の源頭部に,観測所から遠隔操作ができるビデオ観測システムを導入して,土砂生産から流出まで連続した観測研究を行っています.最近,防災の分野でも,「環境」または「生態系」が重要なキーワードになっていると思います.たとえば,ダムからの排砂の問題でも,単に効率的に土砂を除去すれば良いのではなく,排砂による河川環境や生態系への影響も解明する必要があります.排砂に関する研究についても,このような観点から穂高砂防観測所の試験流域を活用して進めています.これまでは,外部から防災研究所と関わり合いながら研究を進めてきましたが,これからは防災研究所という新しい職場の中で,防災と環境という視点から研究を進めていければと思っていますので,よろしくお願いいたします.
大気災害研究部門 助教授 向川 均(むこうがわ ひとし)

 平成14年7月1日付けで、北海道大学大学院地球環境科学研究科から異動し、大 気災害研究部門災害気候分野の助教授に着任いたしました。これまでは、中高 緯度域における異常気象の主要な原因と考えられているブロッキング現象に代 表されるような、大規模な大気循環場の変動の力学とその予測可能性を解明す べく、簡単な大気力学モデルあるいは大気大循環モデルを用いた数値的研究や、 大気運動の非線型性に着目した理論的研究を行ってきました。最近では、中高 緯度域における、偏西風ジェット気流や低気圧活動が盛んな領域であるストー ムトラックの形成といった、気候場の形成問題についても研究を進めています。 今後は、このような基礎的研究をもとに、地球温暖化に伴う気候変動や異常気 象の実態解明や、そのメカニズムおよび予測可能性の解明といった、より社会 的要請と直結するような研究を行っていく所存であります。このような研究を 推進するために、防災研究所の皆様と積極的に交流させて頂きたいと考えてお りますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

人 事 異 動

(平成14年8月1日現在)
転入
 藤田 正治 助教授水災害研究部門配置換←農学研究科助教授平成14年7月1日
 向川  均 助教授大気災害研究部門転任←北海道大学地球
環境科学研究科助教授
平成14年7月1日