「京都大学宇治キャンパス公開2001」


 「京都大学宇治キャンパス公開2001」が、平成13年10月5日(金)と6日(土)の両日にわたり実施された。2日間のうち5日は、主に京都大学内部に対する公開を、また、6日(土)は一般に対する公開を意図したものである。キャンパス公開は、パネル展示を主とした木質科学研究所木質ホールでの「総合展示」会場と、各研究所等で個別に実施される「公開ラボ・公開実験」の催し、および、科学研究所共同研究等大セミナー室で6日に「生命とエネルギーのミレニアムサイエンス」と題して開催された「公開講演会」から構成されている。参加部署は宇治キャンパス内にある、防災研究所を含む4研究所、1センター、4研究科であった。
 防災研究所は、「総合展示」では総計6枚のパネルスペースが配当され、組織の沿革、現在の内容等のパネル展示とともにPCを用いた展示を用意した。そして、「最近の自然災害」のテーマでのポスターを用意し展示した。また、「公開ラボ・公開実験」には、大気災害研究部門の境界層風洞実験室が「風を感じる」というテーマで、地震災害研究部門の強震応答実験室が「建物の揺れ、崩壊、そして耐震技術」というテーマで、地震予知研究センターは地震活動表示システムを活用して「地震活動を見る」というテーマで、さらに、地盤災害研究部門の地すべり実験室が「遺跡を地すべりからまもる」というテーマで参加した。
 境界層風洞実験室の「風を感じる」では、風船を使用した参加型の実験が行われ、多くの人たちが風船を手にしながらキャンパス内を回っているのが、あちこちで目に付いた。防災研究所関連の「公開ラボ・公開実験」に多くの参加者があった証である。

 今年度のキャンパス公開は、よい天候、そして10月の3連休という好条件に恵まれたためか、総計約450名の一般参加があった。その中には、ホームページで情報を知り、青森、茨城、東京、高知などのかなり遠方からの参加者もあった。
(地震予知研究センター 大志万直人)


京都大学防災研究所公開講座

"都市の発展と防災"−なぜ災害は局所化するのか−

 京都大学防災研究所は毎年秋に研究成果の一般への普及と啓蒙を目的として公開講座実行委員会(佐藤忠信委員長)を中心に公開講座を開催しています。今年度は「都市の発展と防災」を基本テーマとして、平成13年11月22日に建設交流館グリーンホール(大阪市)において開催したところ、124名が参加しました。
 講演内容は、近年の都市の発展とともに災害の様相がどのように変化してきたか、なぜ局所的に大きな被害をもたらすような災害が発生するようになってきたか、その対策法はどうあるべきかを分かりやすく解説し、今後の展望を述べるとともに国内外の突発災害調査結果を紹介しました。
 特に,都市環境を取リ巻く災害として強風災害、都市水害、斜面災害を取り上げ、なぜ近年の災害が局所化しその被害が非常に大きくなるのかについての最新の研究成果を総括し、都市に住む人々の局所被災の体験を紹介するとともに、どうすれば災害の局所化を防げるのかに関するパネルディスカッションを行いました。プログラムは以下の通り(括弧内は講演者)。
1.都市における強風災害(丸山 敬)
2.都市水害とその課題(井上和也)
3.突発災害調査報告
   インド西部地震(James Jiro MORI)
   鳥取西部・芸予地震(林 康裕)
4.地質的要因からみた斜面災害の局所化(千木良雅弘)
5.局所被災の社会科学
   〜被災した社会心理研究者の体験整理〜(藤田 正)
6.パネルディスカッション
  「〜災害の局所化はどうしたら防げるか〜」
  コーディネーター 佐藤忠信