宇治川水理実験所新実験棟の竣工

災害観測実験センター

平成10年11月26日、三好郁朗副学長をはじめとして400人以上の関係者が集まり、宇治川水理実験所において新実験棟竣工記念式典ならびに祝賀会が催された。
宇治川水理実験所は、防災研究所設立の翌年、昭和27年3月に結核研究所伏見分所用地を引き継いで誕生し、昭和28年8月の実験所定員の認可を受けて正式に発足した。その後、昭和41年の河川災害総合基礎実験施設の設置にともない、敷地面積が61,000m2 に倍増されるなど、研究組織や実験施設が順次整備され、実験防災学の基盤施設として国際的にも高い評価を得るまでに発展してきた。
このたび、建設省による洛南道路の建設にともない実験所敷地が東西に分割されるため、その補償として主要実験施設を収容する四つの実験棟(床面積合計18,570m2)を再配置し、再配置に必要な周辺民地を所内の道路用地と等価交換することとなった。補償工事は平成9年3月に開始され、平成10年11月に恙無く完了した。
新実験棟(第1〜第4実験棟) には、人工降雨の発生装置を備えた雨水流出実験装置や流域模型のほか、大型長水路など各種の実験水路、土砂流出実験水路、波浪実験水槽、平面波浪実験水槽、水中振動台、琵琶湖水理模型、大阪湾水理模型などが収容されている。
屋外には、風・気温・湿度・熱放射などを観測するための高さ55mの気象観測鉄塔のほか、降水の地中への浸透・蒸発散などを観測するためのライシメータ(浸漏計)などが設置されている。また、研究環境面への配慮として、実験所敷地の境界や構内道路には各種の樹木、植栽が配置されている。
新実験棟竣工を契機として、防災学に関わる研究成果をいち早く社会に還元しつつ国際的にも高い水準の学術研究の維持・発展に努めていくことが、全国大学の共同利用研究施設に課せられた使命であると、今本博健防災研究所長のリーダーシップのもと、センター教職員一同決意を新たにしている。本紙面をおかりして一層のご支援・ご鞭撻をお願いしたい。
宇治川水理実験所 全景