新年のご挨拶 「防災研究所のさらなる飛躍を」

防災研究所長  今本博健

 新年、明けましておめでとうございます。防災研究所の皆様方のますますのご活躍とご健勝を心からお祈り申し上げます。
 ご承知のように、防災研究所は昭和26年(1951)に設立されましたので、2年後の21世紀の始まりとともに50周年という節目を迎えます。
わずか3部門で発足した研究所が、平成8年(1996)の改組により5大研究部門・5研究センター制ならびに全国の大学共同利用研究所へ移行するとともに、防災に関する研究拠点(Center of Excellennce)に指定されるなど、いまや数ある京都大学附属研究所では最大規模となり、世界的にも有数の研究所に成長いたしました。誠に喜ばしい限りであります。
 しかしながら、これまでの発展の多くは先人の遺業に支えられたものであり、現在の我々がそれほど誇りにできるものではありません。
いかに国の財政状況が悪いとはいえ、概算要求ではここ3年間にわたり大型の新規事業は全く採択されず、来年度の予算内示でもわずかに地震・火山噴火予知計画関係の事業が認められたのみであります。このような状況が研究所の低迷につながることのないよう、我々は与えられた条件のもとで新たな展開をはかりたいと考えていますが、関係各位におかれましてもより一層のご指導とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
 平成9年5月に小生が防災研究所長に就任してから早くも20か月が過ぎ、残り任期4か月弱となりましたが、ここ20年にわたる懸案でありました宇治川水理実験所の新実験棟が竣工するなど、皆様方のご協力により無事にここまで来れましたことを深く感謝いたします。
 現在の最大の関心事は防災研究所として初めての外部評価のことであります。国内外からの評価を厳粛に受け止めたいと考えています。2月に予定しています外部評価委員会を経まして、できるだけ早い時期に自己点検・外部評価報告書を完成させる予定であります。
 昨今、大学の在り方そのものが問われ、任期制や独立行政法人化を含めた大学改革が大きなうねりとして目前に迫っています。所員の皆様におかれましては「防災研究所のさらなる飛躍」を目指し、より一層努力されることを希望いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

宇治川水理実験所竣工記念式にて(98-11-26)