粘性土石流の機構及びその対策

 わが国では石牒型土石流が多く、したがってこのタイプの土石流に関する研究はかなり進んでいるが、中国で多い泥流型の粘性土石流の研究はあまり行われてこなかった。そこで、このグループでは成都山地災害環境研究所と共同で、この粘性土石流のメカニズムとその対策に関する研究を目指すこととしている。研究の内容としは、土石流の発生・流動・堆積過程の現地観測、地形変動調査、粘性土石流の実験とシミュレーションモデルを駆使した災害対策に関する研究を計画している。

 現地観測は、長江上流で雲南省にある蒋家溝の試験流域で毎年6月から8月末まで行うこととした。
今年は8月16日から9月10日にかけて穂高砂防の沢田豊明、地形土壌の諏訪 浩および院生の山越隆雄の3名が中国を訪れ、観測設備の増設(未完)と土石流の観測、地形測量などを行い、中国側と・今後の研究計画についての打ち合せを行った。滞在中の8月下旬には規模の小さな土石流が夜間に発生し、粘性土石流の発生条件に関するデータを得ることもできた。取得データの整理と次年度の観測および現地試験の準備を進行中である。