インドネシアの火山噴火機構とテクトニクス

1.主な研究活動実績(1994年10月まで)
 1994年10月25日にインドネシア火山調査所において、バンドン工科大学、インドネシア科学院、インドネシア火山調査所及び防災研究所の研究者約20名が参加して、共同研究に関するワークショップを開催した。また、野外研究活動セして、ジャワ島西部のテクトニクス研究のためのGPS繰り返し測量、噴火機構の研究のためのグントール火山に3点地震観測網の設置、火山ガスの採取分析などを行った。

2.今後の予定(1994年11月〜1995年3月)
 今年度は11月以降に3〜4名の研究者をインドネシアへ派遣し、インドネシア側の共同研究者4名を招へいする予定である。

「第5回火山ガスフィールドワークショップ」
 本ワークショップは、IAVCEI(国際火山学および地球内部化学協会)の下部組織である火山ガス化学委員会(CCVG)の主催で火山ガスの化学的性質、挙動などを明らかにする基礎的研究、火山ガスによる噴火予知やガスによる災害軽減のための観測・研究の推進、火山ガス採取・分析法の国際規格確立などをめざし、3年に一度開催され、シンポジウムと野外調査が行われる。CCVGは約20ヶ国、70余名で構成され、1982年に第1回のワークショップがイタリアのVulcano(火山:Volcanoの語源)山で開催された。第2回は1985年に有珠火山で、第3回は1988年にニュージーランドのWhite島で、第4回は1991年に再度イタリアで開催された.これまでの研究成果は、学術雑誌やCCVGのニュースレターに発表されている。
 今回のワークショップは1994年7月18日から29日までの日程でインドネシア火山調査所(VSI)との共催で開催され、フランス、イタリア、ベルギー、ロシア、アメリカ、インドネシア、日本の8ヶ国から約50名の火山ガス研究者が集まった。バンドンでの19、20両目のシンポジウムでは、4つの基調講演と20件の口頭発表、7件のポスター発表が行われた。また、火山ガスの採取・分析法を検討するための野外調査は、21日からタッグバンパラフ、カモジヤン、パパンダヤツ、ディエン、メラピの5つの火山地域で、9研究グループが同じ火山ガスを採取した。結果は10月までに取りまとめられる予定である。
 本年10月の調査では、メラピ、ディエン、ムリア、ラモンガン、ブロモ、スラマットなどで火山ガス調査を行う予定である。
(東京工業大学草津白根火山観測所 平林順一)

Merapi火山の昨年の11月22日の火砕流の写真。 死者・行方不明者40名以上。