発刊のご挨拶

所長 田中寅夫 

 このたび、防災研究所の研究活動などについて所外の方々にご理解をいただくために、「防災研究所ニュースレター」を発刊することになり、ここに第1号をお届けすることになりました。
 防災研究所は昭和26(1951)年に設置されて以来、自然災害の防御と軽減を目的とする研究をおしすすめ、多くの成果を挙げて災害の防止と軽減に貢献して参りました。これらの成果は、毎年の「研究発表講演会」をはじめ、「京都大学防災研究所年報」、「Bulletin of the Disaster Prevention Research Institute」、各関連学会、学会誌、国際雑誌などに発表されています。また、平成2年からは「公開講座」を開催して最新の研究成果を直接に社会に還元することにも力を注いでいます。
 しかしながら、これらはいずれも、すでになされてきた研究やその成呆などの公表であって、これからの研究計画であるとか現在の研究活動に関する情報ではありません。
 防災研究所はこれまで、全国の自然災害科学に関心をもっ研究者によって構成されている「自然災害総合研究班」の運営についてお世話をするなど、その中心にあって重要な役割を果して参りましたが、このたび「全国共同利用」の研究所として改組するべく平成8年度の実現を目指して努力しております。他方、中国およびインドネシアにおける自然災害の予測と防御を目的とする国際共同研究を平成6年度から5ヵ年計画で進めておりますが、この国際共同研究も全国の関心をもたれる研究者のご協力を得て共同して研究を進めていくべきものであります。これらは、一例にしかすぎませんが、やはり時機に応じて広く所外の方々にお伝えするべき情報であると考えられます。このような観点から編集した結果がこの創刊号の主な内容となっております。
 内容、体裁などについては今後皆様のご意見もお聞きしつつ改善して、よりよいものにしていきたいと考えております。また発行頻度については、発信すべき情報の量にもよりますが、当面4ヵ月に一回程度を予定しております。「防災研究所ニュースレター」が皆様のお役に立つような情報を提供する媒体となり、その結果として防災研究所の研究活動がまたいっそう活発化していくことを期待し、同時に皆様のご理解とご支援をお願いして、発刊のご挨拶とさせていただきます。
(平成7年1月5日)