平成18年度学会賞等受賞者のコメント


佐山敬洋助教
平成17年度土木学会論文奨励賞


   平成18年5月に土木学会より論文奨励賞を頂戴いたしました。受賞題目は「分布型降雨流出予測の不確実性評価に関する研究」です。水文 現象の予測における不確かさを、降雨の推定に起因するものと、降雨から河川流量への変換に起因するものとに分け、それぞれを定量化する 方法を提案しました。提案した手法にはまだ不十分な点があり、確率的な洪水予測を実現できるレベルにまでは達していませんが、こうした賞 を頂きましたことは、今後この分野の研究を進めるうえで、大きな力添えとなりました。ご指導いただきました寶馨教授、立川康人准教授(現: 工学研究科准教授)に心から感謝の意を申し上げます。


河田惠昭教授
平成18年防災功労者防災担当大臣表彰


 1995年阪神・淡路大震災をはじめ、2001年ニューヨーク同時多発テロ事件、2004年新潟県中越地震災害、同年インド洋大津波災害および 2005年ハリケーン・カトリーナ災害などの調査を行い、被災・被害拡大過程を明らかにし、各種の減災対策や被災地復興について政府・自治体 に提言してきました。また、この間、中央防災会議の専門委員として、調査研究などの知見に基づき、東海地震、東南海・南海地震、首都直下 地震の防災大綱と防災戦略の制定や都市直下型地震の被害想定に参画してきました。内閣府が公表した表彰理由からも、これらのことの業 績が認められ、大変名誉なことだと感謝しています。


林春男教授
平成18年防災功労者防災担当大臣表彰


 はからずも平成18年度の防災功労者防災担当大臣表彰をいただきました。何を評価していただいたのか分かりませんが、光栄に思います。 災害発生後の被災地での応急対応、それに続く復旧・復興活動を実証科学的な方法で観察し、被災地の人々の苦しみを低減するための提言 を続けてきただけです。自然現象としての災害については研究者も多く、研究成果の蓄積もすばらしいものがあります。しかし、それでも被害は なくならず、災害のたびに多くの被災者が生まれ、社会現象としての災害が繰り返し発生している事実があります。その学理の究明と効果的な 対応策の確立は減災に不可欠な分野であり、その発展のために、今後も精進したいと思います。


岡田憲夫教授
平成18年度日本リスク研究学会賞


 平成18年11月に開催された日本リスク研究学会の第17回秋期研究発表会において、平成18年度日本リスク研究学会賞を受賞いたしました。 当日は受賞式の前に、記念講演をする機会を得ました。リスクマネジメントの考え方を導入することで、防災の研究と実務にどのような視界が 広がり得るのか、逆に、防災からリスクマネジメントの領域にいかなる知識や技術が提供できそうか、という話題で私の見解と抱負を述べさせ ていただきました。その講演内容を基に、日本リスク研究学会誌(2007 17(1))に「防災の参照軸としてのリスクマネジメントと両者の相互研鑽」 と題して、招待論文をまとめました。これを機会に、微力ながら私個人としてもさらなる研鑽に努めたいと念じています。


飛田哲男助教
第41回地盤工学研究発表会優秀論文発表賞


 このたび、第41回地盤工学研究発表会優秀論文発表賞を頂き大変光栄に思っております。受賞対象となった研究発表は、井合進教授(地盤 防災解析分野)と現在博士課程1年の上田恭平君と共に行った「液状化地盤上の盛土の沈下メカニズムに関する考察」と題するものです。同 賞は発表した若手研究者のみに与えられる賞であり、私の場合、受賞資格上限で頂くことができました。当研究室では、次代を担う人材が着々 と育っていますので、次回からは彼らに席を譲りたいと思います。


畑山満則准教授
第2回競基弘賞学術業績賞


 2007年1月18日に第2回竸基弘賞学術業績賞を受賞しました。この賞は、ロボット工学に関する研究活動中に阪神・淡路大震災の発生により 23歳の若さで亡くなった竸基弘氏の遺志を継ぎ、防災・情報・ロボット・計測などの分野を礎として新たに創生されるレスキューロボット・レスキュ ーシステム分野の研究開発に顕著な貢献のあった若手研究者を奨励することを目的として設けられた賞です。私自身、ロボット工学を通して研 究の世界に初めて触れ、阪神・淡路大震災を機に災害対応情報システムから防災情報システムの開発・研究を始めたため、この受賞は大変 光栄であり、これを機に初心に戻りより一層研究活動に励みたいと思います。


三村衛准教授
平成18年度地盤工学会研究業績賞


 このたび、(社)地盤工学会より平成18年度研究業績賞を授与されました。まことに身に余る光栄であり、ご指導賜りました諸先生方、ともに 研究に携わっていただいた皆様、卒業生諸氏に心より御礼申し上げる次第です。受賞課題は「大阪湾洪積粘土層の長期沈下評価に関する研 究」であり、大阪港埋立地で実測されている深部洪積粘土層の長期沈下現象を、新たな圧縮モデルを適用することで数値解析によって評価で きることを明らかにした、地盤工学会論文報告集“Soils and Foundations”に掲載された4編の論文が受賞対象となりました。現在、沈下が進行 している関西国際空港基礎地盤の挙動解析にも適用されており、社会基盤インフラとしての地盤構造物の安定供用に貢献できれば幸いです。