都市水害に関する日韓防災セミナーの報告


 2004年8月25日、高麗大学校土木環境工学科において都市水害に関する日韓防災セミナーが開催された。このセミナーは京都大学防災研究所と韓国都市水害管理研究センター(李鐘泰所長、京畿大学校教授)によって企画されたものであり、防災研究所からは石川(大気災害研究部門)、林(災害観測実験センター)、宝、戸田、立川(水災害研究部門)、中北(水資源研究センター)が参加した。韓国からは李鐘泰教授、Kim Joong Hoon教授(高麗大学校)を始め、政府機関・大学などから約40名の参加があり、洪水災害防止・軽減に関する取り組み、台風被害、台風予測、短時間降雨予測、都市氾濫水害、洪水流出予測の6つのテーマについて、日韓両国から話題提供を行い相互の理解を深めた。

 韓国では2002年の台風RUSA、2003年の台風MAEMIと連続して大型台風が来襲し多大の被害をもたらしたこともあり、政府研究機関・大学がFFC(Flood Free City)を標榜して大型の水防災研究プロジェクトを推進している。台風RUSAに関しては、わが国でも京大防災研究所を中心として平成14年度特別研究促進費(宝代表)による研究グループを組織し、2003年8月に韓国大田市において韓国研究者と共同で研究報告会を開催した。
 その会議において、今後とも水防災に関連する研究・技術交流を進めることが参加者の間で合意された。今回の会議はそれを受けた第2回目のセミナーである。日韓両国では気候・風土・地形・土地利用・生活形態・人口密度などが非常に類似している。にもかかわらず2002年の台風RUSAでは246名という人名が失われており、わが国とは状況を異にしている。両国の水災害発生機構の異同を理解することは、互いの水防災の防止・軽減に大きく寄与することは間違いなく、来年も第3回の日韓防災セミナーを開催する予定である。
 なお、本セミナーは科学研究費(B)(2)(海外学術調査)「韓国台風災害の学術調査と日韓における水災害発生機構の比較調査研究(京大防災研:立川代表)」および韓国FFC研究の一貫として実施された。
(水災害研究部門 立川康人)



日韓防災セミナー講演者 (高麗大学校にて)