京都大学防災研究所研究集会(特定)16S-02

「京のみやこの防災学」


  「京のみやこの防災学」というキーワードで専門性の異なるジャンル間の研究交流とそのシステム化を試み、京都の総合的(Integrated)防災学(防災に関する方法論の体系化)の事始を行なうという趣旨で京都大学防災研究所特定研究集会「京のみやこの防災学」(研究代表者:萩原良巳)が、平成16年8月17日に京都大学宇治キャンパス木質ホールで開催された。以下に示すように、京都の防災を地震、まち、水の観点から3つセッションに分け、専門的な見地に立った話題提供を、さらに、土岐憲三教授から京都の文化財と地震防災に関する特別講演をいただき、参加者全員による総合討論が行われた。



会議室風景 (総合討論)


 【第1セッション《地震》】
奥山脩二(京都市消防局)
 「京都的防災手法について」
三村 衛(京大防災研・地盤災害研究部門)
 「京都盆地の地盤と地盤災害耐力」
西澤英和(京大大学院・建築学専攻)
 「文化財建造物の高密度振動観測のネットワーク化に基づく地域防災システム」
鈴木祥之(京大防災研・総合防災研究部門)
 「京町家の耐震性」
畑山満則(京大防災研・総合防災研究部門)
 「袋小路と高齢者コミュニティ」

【第2セッション《まち》】
川崎雅史(京大大学院・都市環境工学専攻)
 「京の水辺景観と防災」
谷口栄一(京大大学院・都市社会工学専攻)
 「ロジスティクスと自然災害」
藤井 聡(東工大大学院・土木工学専攻)
 「防災まちづくりのための行動・心理分析」

【第3セッション《水》】
竹門康弘(京大防災研・水資源研究センター)
 「賀茂川と深泥池の生態環境の変遷」
石垣泰輔(京大防災研・災害観測実験センター)
 「京都およびその周辺の伝統的水害対策について」
戸田圭一(京大防災研・水災害研究部門)
 「京の水害の危険性」
森 正幸(鞄水コン)
 「水道水供給の現状と防災面の課題」

【第4セッション《特別講演&総合討論》】
土岐憲三(立命館大理工学部)
 「京都の地震と文化財―地震防災の新しい視点―」

 土木、建築分野を中心に産官学をあわせ総勢60名以上の参加があり、京のみやこの脆弱性とその対応策に関して、活発でかつ、分野を横断した総合的な討論が行われた。さらに10月27日には、この研究集会をフォローアップする形で、土砂災害、水辺の歴史的変遷、水辺景観の観点からの話題提供を中心とした京都市域を対象とした防災研究に関するセミナーが行われた。今後は、一連の研究会の議論を受けた研究報告書を作成する予定である。興味のある方は、水災害・戸田(toda@taisui5.dpri.kyoto-u.ac.jp)もしくは総合防災・畑山(hatayama@imdr.dpri.kyoto-u.ac.jp)までご連絡ください。

(総合防災研究部門 畑山満則)